1994 Fiscal Year Annual Research Report
インターフェロンの肝炎治療効果を抑制する生体内因子、ウィルス側因子の研究
Project/Area Number |
06454615
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | 国立予防衛生研究所 |
Principal Investigator |
小長谷 昌功 国立予防衛生研究所, ウィルス製剤部, 室長 (70153583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 早久良 国立予防衛生研究所, ウィルス製剤部, 主任研究官 (90175349)
松浦 善治 国立予防衛生研究所, ウィルス第二部, 室長 (50157252)
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Keywords | IFN / HCV / cytokine / IFN inhibiter |
Research Abstract |
ヒト包皮2倍体繊維芽細胞(FS細胞)においてはIL-1,EGF,PDGFがIFNの産生及び作用を抑制する事を小長谷は報告している。平成6年度においては、ヒト羊膜由来FL細胞、ヒト肝癌由来HePG2細胞、PLC細胞におけるIFN感受性に及ぼす各種サイトカインの影響を調べた。FL細胞では、FS細胞と異なりEGFのみがIFNα、β、γによるVSVに対する増殖抑制作用、即ち抗ウイルス作用が強力に抑制された。FS細胞ではIL-1が最も強力な抑制作用を示したが、FL細胞には全く影響を及ぼさなかった。PLC細胞に対してもEGFがIFN作用を抑制したが、HePG2細胞には示さなかった。即ち、IFNの作用に影響を及ぼすサイトカインは細胞によって著しく異なり、肝臓由来ガン細胞と言えども肝細胞のIFN感受性をみるモデルに必ずしもなり得ない事が明らかになった。よってサルの初代肝細胞の培養技術の確立等を行っている。一方、IFN感受性を抑制するC型肝炎ウイルス(HCV)のウイルス性蛋白の存在の有無を確認するための実験を行った。まずウイルスDNAを含む発現ベクターをHePG2細胞にトランスフェクトし、ウイルス蛋白の発現細胞を樹立し、IFNα、β、γに対する感受性を比較した。IFN感受性の目安としては、これらの細胞にIFNを一晩処理し、翌日VSVを接種して24時間後のウイルス産生量をプラック法で定量した。まずHCVの構造蛋白であるC,E,E_2が発現しているHePG2-324細胞が樹立され、この細胞のIFN感受性をベクター移入のコントロール細胞(HePG2 SWX)と比較したが、両細胞間には差は認められなかった。更に、構造蛋白ではないProtease/NTPaseを含むNS-3,NS4,NS5aの一部の蛋白を発現するHepG2-3269においてもIFNの感受性を調べたがHepG2SWXと差は認められなかった。さらにHCV DNAを組み込んだアデノウイルスベクター系を用いて異なった細胞、例えば組換えアデノウイルスを感染させた2倍体細胞であるFS細胞におけるIFN感受性を比較したが、現在までの結果ではIFN感受性を抑制するウイルス蛋白の存在を実証できる実験結果は得られなかった。
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