1995 Fiscal Year Annual Research Report
フローサイトメトリーを今まで以上に有効に利用するための新しい検査法の開拓
Project/Area Number |
06454619
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中原 一彦 東京大学, 医学部(病), 教授 (70101095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米山 彰子 東京大学, 医学部(病), 講師 (50175684)
松崎 潤 杏林大学, 医学部, 助手 (80241008)
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Keywords | フローサイトメトリー / リンパ球表面抗原 / 新指標 / 抗原定量化 / 細胞内pH |
Research Abstract |
フローサイトメトリーの新しい利用法として細胞抗原量測定に関する新指標の開発について報告する。 健常成人末梢血中リンパ球を用いて二重および三重染色を行ない、リンパ球分画を大きさの指標となる前方散乱光により細分割し、その細分画ごとに蛍光強度の平均値を算定してグラフ上にプロットすることにより、その傾きを新指標として解析した。健常人のCD3^tCD4^t細胞はCD4抗原において一定の指標を有していることと、男女間で有為差があることが判明した。このことは単位面積あたりのCD4抗原は一定の割合で分布しており、細胞が大きくなるに従って蛍光強度が一定の割合で増しているこを示している。ただ男女差のある理由は今のところ不明である。一方、CD3^tCD8^t細胞上のCD8抗原について検討したところでは一定の指標が得られなかった。その理由としては、CD3^tCD8^t細胞中にはNK細胞など他の細胞の混入があり、均一の細胞集団ではないことが考えられた。 また、CD3^tCD4t^<>細胞群をさらにCD45RO陽性(メモリーT)細胞とCD45RA陽性(ナイーブT)細胞群に分けてそれぞれの細胞上におけるCD4抗原を検討したところ、CD45RO細胞の方がCD45RA細胞よりも単位面積あたりの抗原量が多いことが示唆された。 さらに、リンパ球をCon Aで刺激して活性化したのち、CD3^tCD4^tCD25^t細胞上のCD25抗原(IL2R)の変化について新指標を用いて検討したところ、活性化リンパ球上では単位面積あたりのCD25抗原の発現が増加していることが判明した。 以上のことから、われわれの開発した新指標を用いることにより、単位面積あたりの抗原の推移が分かり、かつ今後の研究の発展により実際の抗原量を定量化できる可能性が期待された。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] Yoneyama,A.: "Increased levels of soluble CD8 and CD4 in patients with infections mononucleosis." British J.Haematology. 89. 47-54 (1995)
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[Publications] Aoki,K.: "A novel gene,Translin,encodes a recombination hotspot binding protein associated with chromosomal translocations." Nature Genetics. 10. 167-174 (1995)
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[Publications] Aoki,I.: "Effects of recombinant human interleukin-1(rhIL-1)and rhIL-1 receptor antagonist(rhIL-1a) on CFU-E and BFU-E in human bone marrow" Experimental Hematology. in press).
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[Publications] 中原一彦: "白血病細胞表面抗原と病態" Modern Physician. 15. 161-164 (1995)
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[Publications] 中原一彦: "フローサイトメトリー" Surgical Frontier. 2. 86-92 (1995)
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[Publications] 米山彰子: "血液疾患における可溶性リンパ球抗原の有用性" 臨床血液. 36. 286-292 (1995)
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[Publications] 中原一彦: "リンパ球の免疫学的検査" 臨床看護. 21. 911-916 (1995)
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[Publications] 米山彰子: "伝染性単核球症で増加しているCD45RA^<dim+> CD45ROの検討" Cytometry Research. 5(suppl). 47 (1995)
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[Publications] 池田忠子: "新指標(FF係数)を用いたSD45ROおよびCD45RA陽性ヘルパーTリンパ球上のCD4抗原量の定量的評価" Cytometry Research. 5(suppl). 49 (1995)
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[Publications] 渡邉 卓: "フローサイトメトリーによるリンパ球表面抗原定量的解析法の開発" 臨床病理. 43(suppl). 177 (1995)
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[Publications] 中原一彦: "広範囲血液・尿化学検査、免疫学的検査" 日本臨床, 13 (1995)
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[Publications] 中原一彦: "臨床検査ガイド'95" 文光堂, 13 (1995)