1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06454632
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Research Institution | Osaka Gakuin University |
Principal Investigator |
角田 聡 大阪学院大学, 経済学部, 助教授 (10158983)
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Keywords | 運動 / DNA損傷 / 酸化的ストレス / 8-hydroxydeoxyguanosine |
Research Abstract |
運動による生体内の活性酸素の生成が脂質過酸化を亢進することが知られている。また、活性酸素がDNA損傷を引き起こすことより、運動によってDNAが酸化的損傷を受ける可能性がある。しかしながら、現在のところ運動とDNAの酸化的損傷に関連した報告は少なく、その詳細については明らかではない。そこで、今年度は脂質過酸化か亢進すると言われている一過性の疲労困憊運動によって、DNA損傷の指標である尿中8-hydroxy-2′-deoxyguanosine(8-OHdG)排泄量が変動するかどうについて検討した。 実験1:対象は18-23歳の非喫煙の長距離ランナー11名とした。対象者にはあらかじめ研究および実験の目的と内容について説明し、実験に協力できる旨の承諾を得た後に実験を開始した。運動負荷はトレッドミルを用い、0%の傾斜でスピードを180m/minから2分毎に10m/min漸増し、疲労困憊に至るまで行った。その結果、尿中8-OHdG/クレアチニン(nM/mM)排泄量は、運動前24時間に比べ運動後3時間、運動後24時間では変動しなかった。 実験2:対象は19-22歳の非喫煙の非鍛練者7名とした。対象者には実験1と同様の承諾を得た後に実験を実施した。運動負荷は自転車エルゴメーターを用い、20Wで4分間のウォーミングアップ後3分毎に20Wの負荷漸増法により疲労困憊運動を行った。その結果、尿中8-OHdG排泄量は運動前24時間に比べ運動後24時間、48時間、72時間で有意な変動は認められなかった。尿中8-OHdG排泄量が総酸素消費量と関連する報告などから、DNA損傷と運動による総酸素消費量の増大には関連性が予想される。しかし、今年度のような一過性の運動ではDNAの酸化的損傷は推察されなかった。今後、種々の運動条件で検討する必要がある。
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