1995 Fiscal Year Annual Research Report
学校プールに生息する小動物を環境教育に活用するための基礎的研究
Project/Area Number |
06454633
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
松良 俊明 京都教育大学, 教育学部, 教授 (20111990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 守 三重大学, 教育学部, 教授 (80167171)
板東 忠司 京都教育大学, 教育学部, 助教授 (70218676)
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Keywords | 学校プール / 環境教育 / タイリクアカネ / ヤゴ / 植物プランクトン / 水生昆虫 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、本年度も京都市および津市のプールに生息する昆虫類を調査した。京都市では、10校の小学校を4月から6月にかけ調べたところ、タイリクアカネ、ノシメトンボ、シオカラトンボ、ダビドサナエ、など7種のトンボ幼虫が採集された。最も普遍的に見られたタイリクアカネ幼虫を、4校の小学校で過去4年間継続調査したが、個体数に変動はあるものの、ほぼ毎年プールに数多く観察され、このトンボ幼虫が京都市内の学校プールを確実にハビタットとして利用していることが明らかになった。 タイリクアカネ幼虫がプールの優占種となっている理由を、種内・種間競争の観点から実験的に解析した。タイリクアカネの卵の孵化は他種のトンボ卵より季節的に早い。そのため、他種のヤゴは、すでに大きくなったタイリクアカネのヤゴにより捕食され、初夏にはこの種のヤゴだけが終齢幼虫となって羽化することが示唆された。また同種のヤゴの共食いにより、タイリクアカネ幼虫の齢構成の均一化が生じ、このことが羽化時期の同調性を引き起こしていると考えられる。 一方津市においては、本来タイリクアカネが分布しない地域であるため、そのかわり、シオカラトンボ、ノシメトンボ、ショウジョウトンボの幼虫などが優占種となっていた。 植物プランクトンについては、緑藻のコスマリウムやオオシスティスが調査した多くの学校で採取された。コスマリウムは、プールのような単純な環境や、池などにおいては遷移の初期段階に出現し、都市化を測るための指標となる可能性がある。
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Research Products
(1 results)