1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06454653
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊東 広 東京工業大学, 生命理工学部, 客員助教授 (10183005)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 憲一 東京工業大学, 生命理工学部, 寄附講座教員 (90212232)
|
Keywords | 細胞増殖 / シグナル伝達 / Gタンパク質 / βγサブユニット / MAPキナーゼ |
Research Abstract |
αβγ、3種類のサブユニットより成る3量体GTP結合タンパク質(Gタンパク質)は、細胞膜の内側に存在し、外界からの無数のシグナルを結合し、連鎖的な細胞内の反応を引き起こす多機能タンパク質である。細胞膜を7回貫通する構造をもつ受容体と共役して、細胞の増殖および分化のシグナル伝達に関与することが知られているが、その細胞内情報伝達の分子機構に関しては不明の点が多い。本研究では、Gタンパク質共役受容体を介する増殖シグナルが、最近の著しい進歩により明らかとなったチロシンキナーゼ型受容体、Ras、MAPキナーゼカスケードとどのようなネットワークを形成し、またその中でGタンパク質がどのような生物学的機能を果たしているかを明らかにすることを目的にしている。Gタンパク質共役受容体のcDNAをヒト胎児腎由来293細胞に発現させたところ、各々の受容体の活性化にともないMAPキナーゼの活性化が見られた。活性型Gタンパク質αサブユニット、β、γサブユニット、活性型Rasタンパク質、活性型Rafタンパク質を過剰発現させたときのMAPキナーゼ活性およびRafキナーゼ活性を測定することにより、Gタンパク質のβγサブユニット複合体がGタンパク質共役受容体からのシグナルのトランスデューサーとして機能していることが示唆された。また、そのシグナルがRasおよびRafのDominant negative変異体により阻害されるため、Rasを介しMAPキナーゼの活性化につながることが判明した。一方、Gq/11のαサブユニットからホスホリパーゼC,Cキナーゼを介して、Rasを通らないpathwayも存在することも明かとなった。
|
-
[Publications] 伊藤 明子: "Gタンパク質βγサブユニット複合体を介するMAPキナーゼの活性化" 生化学. 66. 751 (1994)
-
[Publications] 枝松 裕紀: "動物細胞においてLacシステムを用いた活性型GTP結合タンパク質の誘導発現と細胞増進シグナルの解析" 生化学. 66. 1067 (1994)
-
[Publications] 平林 哲也: "ミクログリア、マクロファージによる初代培養ニューロンの細胞死" 生化学. 66. 688 (1994)
-
[Publications] 伊東 宏: "Gタンパク質を介するシグナル伝達" 医学のあゆみ. 171. 337-342 (1994)