1994 Fiscal Year Annual Research Report
2つの基質結合ポケットを持つ酵素の蛋白質工学的研究
Project/Area Number |
06454654
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
倉光 成紀 大阪大学, 理学部, 教授 (60153368)
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Keywords | 多機能酵素 / 触媒反応機構 / 基質認識機構 / 蛋白質工学 / 部位特異的変異法 / キメラ / X線結晶解析 / アミノ基転移酵素 |
Research Abstract |
アミノ基転移酵素であるアスパラギン酸アミノトランスファラーゼは、酸性側鎖を持つアミノ酸(アスパラギン酸・グルタミン酸)と中性側鎖を持つアミノ酸(例えば、メチオニン、フェニルアラニン)の間のアミノ基転移反応を触媒する。従来の「一基質一酵素」の考え方からすると性質の異なった2つの基質結合ポケットが存在するのは奇妙に思われるが、アミノ基転移酵素のように異なったアミノ酸基質の間でアミノ基転移を行う酵素の場合にはこの方が都合が良いと思われる。今までに、基質特異性が低く何種類かの基質に作用する酵素は知られているが、アミノ基転移酵素のように2種類の基質に対してそれぞれ高い特異性を示す酵素は今までほとんど知られていない。 これら2つのポケットの立体構造を明らかにする目的で、まず、酵素と酸性基質との複合体についてX線結晶解析を行ったところ、酸性基質側鎖のCOO^-はArg292と静電的相互作用をする事が明らかになった。次に、酵素と中性基質との複合体のX線結晶解析を試みたが、まだ成功していない。そこで、酵素の部位特異的変異法・キメラ酵素作製法などを用いて様々な変異型酵素を作製し、種々の基質との反応過程を分光学的方法で追跡した。また、酵素分子の揺らぎを重水素交換法・SH試薬との反応性で測定し、酵素活性との相関を解析した。その結果、中性基質の認識には、活性部位に存在するアミノ酸残基の他に、活性部位から遠く離れた残基が大きく寄与していること、さらに、酵素分子全体の揺らぎが大きく寄与していることなどが明らかになった。
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[Publications] Kuramitsu,S.: "Replacement of Active Site Lysine-239 of Thermostable Aspartate Aminotransferase by S-(2-Aminoetyl)Cysteine:Properties of the Mutant Enzyme" J.Biochem.115. 108-112 (1994)
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[Publications] Kuramitsu,S.: "X-Ray Crystallographic Study of Pyridoxal 5'-Phosphate-Type Aspartate Aminotransferase from Escherichia coli in Open and Closed Forms" J.Biochem.116. 95-107 (1994)
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[Publications] Kuramitsu,S.: "Homologus Ligation" Trends Genet.10. 420 (1994)
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[Publications] Kuramitsu,S.: "NMR Studies of H Resonances in the 10-18-ppm Range for Aspartate Aminotransferase From Escherichia Coli" J.Biol.Chem.269. 28027-28033 (1994)
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[Publications] Kuramitsu,S.: "Separation of Heat-Stable Proteins from Thermus thermophilus HB8 by Two-Dimensional Electrophoresis" Electophoresis. (in press).
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[Publications] 倉光成紀: "酵素反応のダイナミックス" 蛋白質核酸酵素. 39. 1083-1090 (1994)
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[Publications] 倉光成紀: "新生化学実験講座 第1巻 VII.タンパク質工学 天然タンパク質の安定性の分子設計" 東京化学同人,