1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06454665
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
曽我部 正博 名古屋大学, 医学部, 教授 (10093428)
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Keywords | 血管内皮 / 伸展刺激 / 機械受容チャネル / 細胞内カルシウム / ストレスファイバー / F-アクチン |
Research Abstract |
血管の最内側を覆う内皮細胞は紡錘形をしており、その長軸を血管走行方向に向けて敷石状に規則的に配列している。この形と配列は血流による細胞の剥離を防ぐ点で合理的である。では一体この形と配列はどのようにして決められるのだろうか?血圧の周期的変動に由来する血管の拡張と弛緩が重要な要因の一つであることが分かっている.本研究計画の最終目的は、内皮細胞の形づくりにおける我々の仮説(伸張刺激-機械受容チャネルの活性化-Ca動員-Fアクチンと接着分子の再編成-形の変化)を検証することである.平成6年度の目標は、適切な伸張モードの決定、および主要な機械センサとセカンドメッセンジャーの同定である。(1)持続的伸張刺激は顕著な形態変化を導かず、細胞はむしろ伸張方向に平行に伸張する傾向が認められた。このときストレスファイバーは伸張方向に平行に発達する。結局、心拍数に相当する約1Hzの周期的伸張刺激(ピーク時、120%伸長)が現実的に最適な刺激モードであることが分かった。(2)形態変化は外液Caに依存し、機械受容チャネルのブロッカーであるガドリニウム(Gd)で抑制された。アミロライド、ニフェジピンは効果がなかったので、この応答における主要なセンサは機械受容チャネルであり、その活性化による外液Caの流入が下流の反応に重要であることが判明した。環状ヌクレオチド、G蛋白質、蛋白質キナーゼの関与についてはまだ明瞭な結論は得られていない。(3)形態変化中のアクチン分子の動態に関する初歩的解析を行った結果、全アクチン量は変化せず、GアクチンとFアクチンの存在比が変化することが分かった。即ちまず伸張方向に平行なFアクチンが伸張刺激でGアクチンに脱重合し、時間と共に伸張方向に垂直な方向にFアクチンとして再重合していくことが示唆された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Murakami,T,et.al,: "Enzymatic and genetic adaptation of soleus muscle mitochondoria to physical training in rats." Am.J.Physiol.267E. 388-395 (1994)
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[Publications] Sokabe,M,Hasegawa,N.,& Yamamori,k.: "Aminoglycoside blockade and amphipaths activation of stretch activated ion channels from shick skeletal muscle." Biophys.J.66(No.2). A167 (1994)
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[Publications] Naruse,K.,Inoue,M,Yamada,T.,&、 Sokabe,M.: "Ca2+dependent and Gd3+sensitive morpho logical changes of cultured endothelial cellsby cyclic mechanical stretch." The Physiol.37(4). A6 (1994)
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[Publications] 曽我部正博、他: "機械刺激に対する内皮細胞のCa2+応答と形態応答" 脈管学(Jpn.J.Angiol.). 34. 989-994 (1994)
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[Publications] 曽我部正博、成瀬恵治、山田恭子、嶽本和久: "血管内皮細胞の機械受容チャネルと細胞応答" 血管と内皮(Blood Vessel & Endothelium). 4. 29-38 (1994)
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[Publications] Sokabe,M.,Nunogaki,K.& Naruse,K.: "Stretch activated ion channels:Macroscopic vs.microscopic responses" Progr Cell Res.(in press).
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[Publications] 曽我部正博: "イオンチャネルによる情報交換(In〔ナノバイオロジー入門:時間と空間の生物学」)(嶋本編)" 講談社, 222 (1994)
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[Publications] 曽我部正博: "イオンチャネルの機能的再構成In“膜学実験シリーズI"" 共立出版, 424 (1994)