1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06454665
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
曽我部 正博 名古屋大学, 医学部, 教授 (10093428)
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Keywords | 血管内皮細胞 / 機械刺激 / 形態応答 / ストレスファイバー / Fアクチン |
Research Abstract |
血管の最内側を覆う内皮細胞は紡錘形をしており、その長軸を血管走行方向に向けて敷石状に規則的に配列している。この形と配列は血流による細胞の剥離を防ぐ点で合理的である。では一体この形と配列はどのようにして決められるのでろうか?血圧の周期的変動に由来する血管周方向の拡張と弛緩が重要な要因の一つであることが分かっている。本研究計画の最終目的は、内皮細胞の形づくりにおける我々の仮説(伸張刺激-機械受容チャネルの活性化-Ca動員-Fアクチンと接着分子の再構成-形の変化)を検証することである。昨年度までに、形態応答には機械受容チャネルの活性化による細胞内Ca動員が必須であることが明らかとなった。平成7年度の目標は、細胞骨格(ストレスファイバー:Fアクチンの束)の動態と形態応答の関連を解析することである。応答の各時点でFアクチンをファロイジン/ロ-ダミンで蛍光染色するなどして現在までに以下のような成果が得られた。 (1)伸張刺激開始後比較的速い時点で既存のFアクチンが消失(脱重合)する。(2)ついで伸長軸に垂直な方向に細いFアクチンが重合・成長するが、この時点ではまだ形態変化は認められない。(3)引き続きFアクチンが垂直方向に成長するとともに、集合・束化してストレスファイバーが形成され細胞形態も伸長して応答が終了する。また形態変化中のアクチンの変動を定量したところ、(4)全アクチン量は変化せず、FアクチンとGアクチンの存在比が変化することが分かったので、この反応は新たな蛋白質の合成を含まない反応であることが示唆された。伸長刺激に対するアクチンの全反応過程をまとめると、《Fアクチンの脱重合→垂直方向への重合→伸長と束化》となる。今後の課題はこの応答の調節機構と接着斑分子の関わりの解明であるが、現在までに接着斑蛋白質のCa依存性蛋白質チロシン燐酸化が最後のステップの進行に必須であることが分かっている。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Okada,H.,Yoshida,J.,Sokabe,M.,Wakabayashi,T.,Hagiwara,M.: "Suppression of CD44 expression decreases migartiona nd invasion of human glioma cells." Int J Cancer Res.66. 1-6 (1996)
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[Publications] Akaike,T,Wang,J,& Sokabe,M.: "Optical imaging of neural activities in the rat cingulate cortex in vitro." Neurosciences,. 21. 81-89 (1995)
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[Publications] Kobuke,Y.,Ueda,k.,& Sokabe,M.: "Totally synthetic voltage dependent ion channels." Chem.Let.435-436 (1995)
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[Publications] Tanaka,Y.,Kobuke,Y.,& Sokabe,M.: "Non-peptide ion channel with a K^+-selective filter." Angew.Chem.(Int Ed Eng),. 36(40). 693-694 (1995)
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[Publications] 曽我部正博、成瀬恵治、嶽本和久、: "SAチャネルは細胞の機械センサか?" 蛋白質・核酸・酵素,. 41. 2-13 (1996)
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[Publications] 曽我部正博、: "単一チャネルデータ解析," 生理学雑誌(J Physiol Soc Jpn). 57. 247-260 (1995)
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[Publications] 曽我部正博、: "イオンチャネルのゲートとゆらき、In「生体膜」(葛西、田口編)" 吉岡書店, 47-66(167) (1996)
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[Publications] 曽我部正博、: "パッチクランプ法による単一チャネル電流の記録、In「英語論文セミナー 現代の生命科学シリーズ:細胞生物学」(馬淵、ヤマモト編)" 講談社、, 168(113-120) (1996)