1994 Fiscal Year Annual Research Report
マウス個体を用いたサイクリン依存性蛋白リン酸化酵素の機能解析
Project/Area Number |
06454676
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松七五三 仁 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (50251442)
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Keywords | Cdk4トランスジェニックマウス / モノクロナール抗体 / 接触阻止 / サイクリンDとCdk4複合体酵素 / p27^<kip1> |
Research Abstract |
1.Cdk4トランスジェニックマウスの作製 多くの組織で働く強いプロモーターの下流にマウスCdk4cDNAを組み込み、受精卵にマイクロインジェクションした。ゲノムにCdk4 cDNAの挿入がみられたマウス14匹が得られ、全て交配可能であった。これまでに3世代継代したが、いずれの系統でもCdk4 cDNAは遺伝することが明かとなった。生後約1年になる初代を含めて、いずれにも期待していた腫瘍発生などみられず、また、奇形などもみられていない。 2.Cdk4特異的モノクロナール抗体によるCdk4の機能解析 哺乳動物ではこれまでに7種類のCdkが知られているが、我々の作製したモノクロナール抗体はCdk4に特異的であった。このモノクロナール抗体はCdk4の酵素活性を阻害するので、この抗体を細胞に微量注入しその効果を観察することにより、Cdk4の細胞周期制御機能を知ることができる。実験に適する細胞系を検討していく段階で、接触阻止のみられるラット線維芽細胞株3Y1を候補として、まず、細胞周期の同調性を検討した。この細胞株は接触阻止によりG0期に入り、充分な量の牛胎児血清存在下で細胞を希釈して培養を続けることで、同調してG1期を経てS期に入る。一方、接触阻止でもサイクリンDとCdk4複合体は存在しているが、その酵素活性はみられなかった。この酵素活性阻害機構を解析して、p27^<kip1>が多量に存在することで、Cdk4の活性化に必須のスレオニン残基のリン酸化が阻害され、結果としてサイクリンDとCdk4複合体酵素の活性化が阻害されいることを明かにした。
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