1994 Fiscal Year Annual Research Report
受精における細胞認識とシグナル伝達機構の遺伝子支配に関する研究
Project/Area Number |
06454683
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
漆原 秀子 筑波大学, 生物科学系, 助教授 (00150087)
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Keywords | Dictyostelium discoideum / Sexnality / mutant |
Research Abstract |
今年度は細胞性粘菌における有性生殖異常の挿入突然変異体の単離と表現型異常の解析を行った。まず、細胞性粘菌Dictyostelium discoideumのヘテロタリックな(交配型はmat A)株 KAX3に、薬剤(Blasticidin S)耐性の遺伝子を持つプラスミドpBSr2を導入して選択培地で形質転換体を選択し、次に、形質転換体の中で細胞性粘菌における有性生殖の最終産物であるマクロシストを形成できないものをスクリーニングによって選び出した。その結果、これまでに次の二種類の変異体が得られた。 1.交配型(様式)の変化したものKMC1〜KMC3:mat Aの株はmat aの株とのみ交配するはずであるが、これらの変異体はmat Aの株と交配する。また、わずかながらmat aの株とも性的に融合するので、交配型の転換もしくは交配様式の変化を起こしているようである。 2.有性生殖の効率が低下し、同時に無性生殖にも異常を生じているものTA1:この変異体は貧弱なマクロシストを低頻度でしか形成しない。しかし性的な細胞融合は正常に起こる。これらの表現型異常は、cAMPに対する走化性の低下によって細胞融合後に周辺細胞を取り込むことができないためであることがわかった。cAMPに対する走化性は、無性的に胞子を形成する際にも中心的な役割を果たしている。 どちらの変異体も有性生殖の遺伝子支配を理解する上で極めて興味深く、現在変異した遺伝子を同定する作業を進めているところである。
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