1995 Fiscal Year Annual Research Report
歯および歯周組織の振動特性の解析とその歯周病診断への適用に関する研究
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06454725
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小池 一喜 日本大学, 歯学部, 講師 (70096808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 實 日本大学, 歯学部, 助教授 (10102617)
伊藤 公一 日本大学, 歯学部, 助教授 (90102607)
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Keywords | 歯と歯周組織 / 振動特性 / 周波数解析 |
Research Abstract |
(1)実測データとシュミレーションデータの比較-方法の定量化の確立について 平成6年度まで使用していた扇型テンションゲージに変え,特殊なインパルスハンマーを採用した。これは扇型テンションゲージを使用した場合,臼歯部への荷重が場所的な制限のため不自由であり,臨床応用を目標として変更したものである。結果,実測データは単根歯,複根歯ともに扇型テンションゲージとほぼ同様の振動パターンを示した。 (2)周波数スペクトルと歯根膜組織像の対比について サルの健全歯では約750Hzに最高値がある幅の広い1峰性のパターンを示した。また歯を完全脱臼させたときは急峻な約350Hzのピークをもつものと,幅の広い約2000Hzにピークをもつ2峰性のパターンを示した。一方,抜去歯では後者に近いパターンをしめした。そして単根歯と複根歯では異なったパターンを示した。また歯根膜にできるだけ近い状態を抜歯に付与し,同様の実験を行い検討をおこなった。しかし,抜去歯と同様の振動パターンを示した。このため,臨床応用の面からは骨植している歯の振動パターンの検討を進めることがより必要であると考えられた。 (3)臨床応用の検討について X線写真,盲嚢プロービングと振動挙動の対比をインパルスハンマーを使用し行なっており,その結果,ヒト健全歯の振動パターンは,単根歯の振動レスポンスは大きく,複根歯では振動レスポンスが相対的に小であった。振動時間も単根歯では僅かに長期化する傾向がみられた。この結果は扇型テンションゲージの場合とほぼ同一であった。またこれらの結果は,単根歯と複根歯の骨植状態の違いによるものと考えられ,歯周疾患等の診断への応用の可能性が高まったと考えられる。 しかし,インパルスハンマーを使用した場合の荷重は,扇型テンションゲージ荷重の150gよりかなり軽度となった。このため臨床上,歯の打診の適正な力についての検討が必要となった。
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