1994 Fiscal Year Annual Research Report
大動脈平滑筋の新しい重鎖キナーゼの同定とミオシン重鎖りん酸化の意義
Project/Area Number |
06455001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
盛田 フミ 北海道大学, 理学部, 教授 (80000818)
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Keywords | 大動脈平滑筋 / ミオシン / ミオシン重鎖キナーゼ / りん酸化 |
Research Abstract |
ブタ大動脈平滑筋ホモジェネートよりDEAE-Toyopearl,CM-Toyopearl,Sephacryl S300,Heparin-Agarose等を用いたカラムクロマトグラフィによりミオシン重鎖キナーゼを均一に精製した。精製酵素は40-kDaと23-kDaサブユニットが1:1の組成で含まれ、総分子量はゲル濾過から160-kDaと見積られた。収量は1kgの大動脈から41μgであった。酵素活性のpH依存性はベル型を示し、最大pHは8.5であった。KC1,MgC1_2で活性化され、それぞれ0.24Mおよび10mMで最大活性を示した。予め、酸ホスファターゼで処理し、重鎖を脱燐酸化した大動脈ミオシンでは、この酵素によってミオシン1モル当たり1モルの燐酸基が導入された。大動脈ミオシンには200-kDaおよび204-kDaの分子量を持つ二つのアイソフォームが存在するが、この精製酵素は204-kDa重鎖のみを特異的に燐酸化した。[γ^<32>P]-ATPを用い燐酸化した大動脈ミオシン重鎖から燐酸化ペプチドを単離し一次構造を決定した。燐酸化部位周辺のアミノ酸配列はVIENADGS*DEEMD-ARであり、S*が燐酸化されていた。この構造はラット大動脈、ウサギ子宮等の平滑筋ミオシンの204-kDa重鎖アイソフォームのC末端付近のnon-helical tail pieceに存在する構造と相同であり、この燐酸化は大動脈ミオシンのフィラメント形成と何等かの関連をもつことが示唆された。しかし、精製ミオシンのフィラメント形成能にはこの燐酸化により有意な変化は見いだされなかった。フィラメント形成に関与する他のタンパク質との関連を探る必要がある。
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