1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06455010
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高浜 信行 新潟大学, 積雪地域災害研究センター, 助教授 (20018948)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 昌二 新潟大学, 人文学部, 教授 (30036470)
小野 昭 東京都立大学, 人文学部, 教授 (70000502)
卯田 強 新潟大学, 理学部, 講師 (80134914)
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Keywords | 地表変動 / 土石流 / 地震 / 災害 / 遺跡 / 縄文時代 / 自然環境 |
Research Abstract |
本研究は,先史時代から現在まで過去数千年間の地表変動(主に土砂災害)の歴史を復元し,土砂移動現象と遺跡の成立・破壊の関連を検討することを目的としている.本年度から主調査地域の五頭山麓に加え,比較調査地として兵庫県南部地震の被災地六甲山地南麓の神戸・芦屋地域の調査を開始した. 1.五頭山麓では縄文時代以後の約5千年間に12-13回の土石流の発生が確認できた.これは単純平均で数百年に1回の発生を意味し,その防災対策に対して根本的な問題を提示する.南部の安田地域の1967(昭和42)年の土石流災害は,江戸時代の1646(天保3)年と1757(宝歴7)年の災害にひきつぐものである. 2.五頭山麓の福島潟では,縄文時代前期(約5-6千年前)の約1000年間に,大規模な土石流が集中的に発生,流下したことが確認できた.この原因の解明が重要な課題となった. 3.比較調査地の神戸・芦屋地域では,1938(昭和13)年の阪神大水害で大きな土石流災害をうけた地域である.ここでも縄文時代以後の土石流発生の歴史が明らかになりつつある.この地域では,さらに,地盤の液状化をともなう過去の大地震のあとには,六甲山地で大規模な土石流が発生したことが確認されつつある. 4.五頭・六甲山麓における,これらの土石流の流下は大きな被害をもたらす一方,砂層の堆積がその後の居住基盤・農地基盤として,重要な役割を果たしたことがわかってきた.六甲山麓では土石流で運ばれた巨礫が,中世には築城のための貴重な石材資源として利用されている.土石流の「功と罪」ともたとえられるこれらの側面は,遺跡の成立と破壊を強く支配したとみられる.
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Research Products
(1 results)