1995 Fiscal Year Annual Research Report
神経移植によって軸索再生したネコ網膜神経節細胞の光情報伝達機能
Project/Area Number |
06455013
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福田 淳 大阪大学, 医学部, 教授 (90028598)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 眞三 愛知県コロニー発達障害研究所, 主任研究員 (10093486)
井上 徹 大阪大学, 医学部, 助手 (60263282)
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Keywords | 神経移植 / 視神経 / 網膜神経節細胞 / 軸索再生 / 光情報伝送 / ネコ |
Research Abstract |
昨年度の電気生理学的研究から、坐骨神経の自家移植によって再生したネコの視神経線維が、光情報伝達機能を維持できることが明らかになった。しかしこれまでの単一線維からの電気生理学的記録では、軸索切断部位から2-4cmにわたって軸索再生してきた網膜神経節細胞の光情報伝達機能しか調べることが出来ないし、また移植ネコで実際に移植が成功しているかどうかをあらかじめ知ることが出来ない。一方、別に行った形態学的研究から視神経切断後に坐骨神経を移植した場合、軸索再生は不十分であるが細胞体が生存している網膜神経細胞が多数見いだされており、これらの機能評価も単一線維からの記録では不可能である。そこで本年度はこれらの点をふまえ、坐骨神経移植ネコでの網膜神経節細胞全体の機能評価をするために、パターン反転網膜電図の記録をおこなった。実験には視神経切断ネコと、視神経切断と同時に坐骨神経移植を行ったネコを用意し、手術後1-4週間にわたり経時的に網膜電図を記録し、各々の時間周波数、空間周波数での振幅の変化を調べた。その結果、視神経切断ネコにくらべ移植ネコではパターン反転刺激で賦活される電位の振幅の減弱が緩徐であった。その程度は特に低い時間周波数のパターン反転によって誘発される網膜電位で著明であった。この結果は、視神経移植によってX細胞(形態学的にはβ細胞)の逆行性変性がとくに救済されるという形態学的研究の結果をよく確認するとともに、今回行ったパターン反転網膜電図の記録による網膜機能の評価解析法が適切であったことを示している。この網膜機能評価法は坐骨神経移植ネコのみならず視神経障害ネコ一般、さらには臨床的にも網膜視神経機能評価として有用であると考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Watanabe M,et al: "Number and dendritic morphology of retinal ganglion cells that survived after axotomy in adult cats." Journal of Neurobiology. 27. 189-203 (1995)
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[Publications] Sugioka M,et al: "Changes of compound action potentials in retrograde axonal degeneration of rat optic nerve." Experimental Neurology. 132. 262-270 (1995)
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[Publications] Masu M,et al: "Specific deficit of the ON response in visual transmission by tageted disruption of the mGluR6 gene." Cell. 80. 757-765 (1995)
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[Publications] Sawai H,et al: "Functional and morphological restoration of intracranial brachial lesion of the retinocollicular pathway by peripheral nerve autografts in adult hamsters." Experimental Neurology. 137. 94-104 (1995)
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[Publications] Wakabayashi T,et al: "Monoclocal antibody C38 recognizes retinal ganglion cells in cats and rats." Vision Research. (in press).
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[Publications] Wakabayashi T,et al: "Monoclonal antibody C38 labels surviving retinal ganglion cells after peripheral nerve graft in axotomized rat retina." Brain Research. (in press).