1994 Fiscal Year Annual Research Report
「自然法則と自然法」両概念の歴史的生成過程とその思想的意義に関する研究
Project/Area Number |
06455014
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
横山 雅彦 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (70031367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 康仕 神戸大学, 国際文化学部, 助教授 (00200668)
水谷 雅彦 神戸大学, 国際文化学部, 助教授 (50200001)
山田 広昭 神戸大学, 国際文化学部, 助教授 (40210471)
宗像 恵 神戸大学, 国際文化学部, 助教授 (40135504)
片柳 榮一 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (60103131)
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Keywords | 自然法則 / 自然法 / 観念史 |
Research Abstract |
各研究分担者がそれぞれの分担研究領域の資料嵬集および研究調査を押し進めるとともに、定期的に研究会を開催し、毎回一名の研究分担者がその時点での研究成果の発表を行なった。さらに研究発表の後に、その内容について全体で批判的討議を行ない、その結果を各自の分担研究領域の研究調査に反映させるよう努めた。また、ソフトウェアとして購入したインテレックス社のデータ・ベース「パーストマスターズ」に収載されたヨーロッパの古今の代表的思想家の主要テキストに関して、「自然」、「法則」、「法律」「規則」等の術語の検索を実行した。そして従来の書籍に依拠した研究ではほとんど不可能であった広範なクロス・レファレンスを活用することによって、「自然法」、「自然法則」の概念変遷に関して新たな展望を得ることができた。 以上のような研究活動によって得られた成果をいくつか列挙すれば、1.古代においてはnomos(lex)は掟を意味し、「自然の法」とは概して比喩的表現であったこと、2.中世ラテン・イスラム文化では、法(法則)概念と密接な関連を有する規則の概念が多様な文脈で頻繁に用いられていること、3.12世紀シャルトル学派の自然法則概念がカルキディウスの『ティマイオス注解』からかなり大きな影響を受けていること、4.ラテン中世末期において主意主義神学が主知主義神学との相克において自然法概念の変化に大きな役割をはたしたこと、5.17・18世紀の西洋においては自然法的規範思想が衰退し、それに代わる規範理論が出現したこと、6.生命倫理や環境倫理の領域においても、「自然的なるもの」の規範性が見いだされたこと、7.現代において行為規範を基礎づける際にも、自然法的発想がまぎれこまざるをえないこと、である。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] 山田広昭: "天使に憑かれる-ふたたび危機の言説について" 批評空間. II-5(発表予定). (1995)
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[Publications] 山田広昭: "言語とは何かを考える" 月刊「言語」. XXIV-5(発表予定). (1995)
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[Publications] 山崎康仕: "環境倫理と自己決定権" 環境技術. 23. 248-251 (1994)
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[Publications] 山崎康仕: "「代理母」と法" 法哲学年報「生と死」の法理」. 32-38 (1994)
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[Publications] 桜井徹: "「自然支配」の行方" 環境技術. XXIII-9. 54-57 (1994)
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[Publications] 片柳榮一: "初期アウグスチヌス哲学の形成" 創文社, 420 (1995)
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[Publications] 大林信治・宗像恵: "科学思想の系譜学" ミネルヴァ書房, 298 (1994)
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[Publications] 宇都宮芳明・水谷雅彦: "倫理学を学ぶ人のために" 世界思想社, 279 (1994)
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[Publications] 加茂直樹・山崎康仕: "環境思想を学ぶ人のために" 世界思想社, 320 (1994)
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[Publications] 勝田有恒・桜井徹: "近世ヨーロッパの法学者たち" ミネルヴァ書房(発行予定), (1995)