国文学研究のためのマルチメディア情報の総合利用方式とシステム研究

1996 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 06551007
• Research Institution: National Institute of Japanese Literature
• Principal Investigator: 安永 尚志 国文学研究資料館, 研究情報部, 教授 (20017411)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): A Armour 慶應義塾大学, 文学部, 助教授 (20202799) ; 安達 淳 学術情報センター, 研究開発部, 教授 (80143551) ; 原 正一郎 国文学研究資料館, 研究情報部, 助教授 (50218616) ; 松村 雄二 国文学研究資料館, 研究情報部, 教授 (10086689) ; 立川 美彦 国文学研究資料館, 研究情報部, 教授 (60270419)
• Keywords: 国文学情報システム / マルチメディア / 日本語データベース / 国文学研究資料館 / 国文学データベース / 電子本「漱石と倫敦」考 / 二十一代集データベース / 奈良絵本データベース

Research Abstract

3ヶ年に渡った研究は全ての実証実験を終了し、評価を行った。その結果、所期の目標を充分に達成する成果を得られた。データベースやシステムのプロダクトは、試行版として研究成果としてまとめた。今年度の主な研究成果は以下の通りである。
(1)具体的な文学研究テーマである「漱石と倫敦」考のためのマルチメディア対応の電子本を完成させた。プロダクトのCD-ROM化を検討した。これにより、1994年度に設計した国文学研究態様モデルを評価実験することができ、最終的なモデルの評価を行った。国文学の研究態様モデルはほゞ確立した。逆に見れば、この研究態様モデルにより、電子本「漱石と倫敦」考が完成し、実際の国文学研究環境への提供が可能となったと言える。
(2)「漱石と倫敦」考を対象として、1995年度に設計した電子書斎システムのプロトタイプ版の実証実験を行い、評価を行った。プロトタイプシステムは、パソコンおよびマルチモードワークステーション(1995年度導入)上に実装した。
(3)正保版本歌集「二十一代集」、並びにカラー画像である「奈良絵本」を基に、版本、写本の画像情報、翻刻したテキスト情報、および朗読による音声情報によるマルチメディアデータベースを作成した。その高次利用法について、機能システムの開発研究を行い、評価を加えた。なお、完成したプロダクトはCD-ROM化を検討している。
(4)WWWなどのインターネットを用いる高度情報資源の分散環境による利用方式について、「奈良絵本」を用いた実証実験を行った。著作権などの問題から、インターネットへの試験的公開であっても慎重な検討が必要であり、この問題の検討が実用上必要である。
(5)原本画像データベースはCD-ROMバ-ジョンを制作した。ただし、別途予算。
(6)最終的な研究成果の取りまとめと報告書を作成した。

Research Products

• [Publications] 安永尚志: "国文学作品のテキストデータ記述ルールについて" 自然言語処理3.4,. 3.4. 3-29 (1996)
• [Publications] 安永尚志: "国文学研究資料館におけるJIS外字文字作成の状況" 人文学と情報処理. 10. 26-34 (1996)
• [Publications] 安永尚志: "奈良絵本データベースの開発研究" 国文学研究資料館紀要. 22. 39-67 (1996)
• [Publications] 安永尚志: "国文学研究とコンピューター電子本「漱石と倫敦」考をつくる" 自然言語処理. 3.2. 33-56 (1996)
• [Publications] 安永尚志・原正一郎: "国文学情報システム" 学術月報. 49.6. 700-707 (1996)
• [Publications] S.HARA and H.YASUNAGA: "SGML Markup of Japanese Classical Texts : A Case Study" ALLCACH-96. 131-134 (1996)
• [Publications] 安永尚志: "文化系のための情報検索入門" 平凡社, 256 (1996)
• [Publications] 松村雄二: "「百人一首」-定家とカルタの文学史" 平凡社, 222 (1995)