1995 Fiscal Year Annual Research Report
誘導光散乱による高振動数フォノン発生システムの試作
Project/Area Number |
06554008
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木下 修一 大阪大学, 理学部, 教授 (10112004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新倉 信治 スペクトラ, フィジックス社, 技術部長(研究員)
兼松 泰男 大阪大学, 理学部, 助手 (00211855)
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Keywords | 誘導光散乱 / フォノン / 非線形光学効果 / レーザー分光 / 超短パルス |
Research Abstract |
本研究は、フェムト秒の時間幅を持つTi:サファイアレーザーを光源として、同期した2つの光パルスをつくり、あるいは、THzで振幅・位相変調されたパルスをつくり、誘導光散乱を用いて物質中にコヒーレントなフォノンをつくることが目的である。 本年度は、短パルスレーザーの製作とそれを用いたフォノンの励起の実験を行った。前者では昨年度製作した100フェムト秒ほどの幅を有するフェムト秒レーザーに代わり、10フェムト秒の時間幅をもつ幅をTi:サファイアレーザーの製作を中心に行った。これは、レーザー共振器内での光の群速度分散を極力小さくするため、通常2cmもあるレーザーロッドを1/10の2mmにしたものである。そのおかげで群速度分散補償用のプリズム対にも、高次の分散効果が小さ石英ガラスを用いることができ、これだけで約10数フェムト秒のパルスを得ることができた。パルスの発振特性など基礎的なデータの測定は現在も実行中である。 もう一方、コヒーレントフォノンの励起に用いる誘導光散乱の実験は、既存のフェムト秒Ti:サファイアレーザーを用いて行った。レーザーの出力をプリズム対でパルス幅を60フェムト秒まで小さくして、光カー効果を用いて、物質内にあるいろいろなフォノンや揺らぎを光りパルスにより励起できるかどうかを確かめた。試料には、いろいろな系列での液体や高分子中心にいろいろな物質での実験を行った。その結果の主なものは、次の通りである。1)ベンゼン系列では、強い緩和モードとおよそ60cm^<-1>のところにピークをもつ低振動数フォノンモードにより特徴づけられるが、これは、緩和モードがほとんど見えず、30cm^<-1>に振動のピークを持つアルコール系列とはかなり異なった形状を示した。2)多くの液体は基本的にこの2つのどちらかの部類に属している。3)高分子は緩和モードは見えず、低振動数フォノンは80cm^<-1>ほどのところにあるため、時間応答ではあたかも過減衰振動のような振る舞いをする、などなど、特に緩和モードを含んだ形での揺らぎやフォノンの測定には時間領域での測定が極めて有効なことが分かった。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] S.Kinoshita 他: "Extremely early stage of ferroelastic domain formation observed by laser refraction" Physical Review. B50. 5834-5837 (1994)
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[Publications] S.Kinoshita 他: "Direct comparison between ultrafast optical Kerr effect and high resolution light scattering spectroscopy" Physical Review Letters. 75. 148-151 (1995)
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[Publications] S.Kinoshita 他: "Direct comparison of femtosecond Fourier-transform Raman spectrum with spontaneous light scattering spectrum" Chemical Physics Letters. 236. 259-264 (1995)
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[Publications] S.Kinoshita 他: "Linear and nonlinear optical spectroscopy of molecules in disordered system" Adv.Multiphoton Processes and Spectroscopy. 9. 3-141 (1995)
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[Publications] Y.Kai 他: "Direct comparison between femtosecond optical Kerr and high-resolution light scattering measurements" J.Mol.Lig.65/66. 413-416 (1995)
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[Publications] Y.Kai 他: "Low frequency phonon structures in disordered systems probed by femtosecond spectroscopy" Physica B. (印刷中).
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[Publications] Y.Kai 他: "Detection of enhanced bulk modes by means of resonance Rayleigh scattering and femtosecond optical Kerr effect spectroscopy" J.Luminescence. (印刷中).
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[Publications] S.Kinoshita 他: "Low frequency phonon structures in disordered systems probed by femtosecond nonlinear spectroscopy" J.Luminescence. (印刷中).
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[Publications] S.Kinoshita 他: "Low frequency modes probed by time-domain optical Kerr effect spectroscopy" Int.J.Mod.Phys.B. (印刷中).