1996 Fiscal Year Annual Research Report
対流圏温度構造の高時間分解能RASS観測に用いる音波発射装置の開発
Project/Area Number |
06554017
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
津田 敏隆 京都大学, 超高層電波研究センター, 教授 (30115886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 卓司 京都大学, 超高層電波研究センター, 助手 (40217857)
増田 悦久 郵政省 通信総合研究所, 沖縄電波観測所, 所長
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Keywords | RASS / 温度 / 対流圏 / レーダー / リモートセンシング / 大気力学 / 音波 / アレイアンテナ |
Research Abstract |
平成8年度は、平成7年度に製作した音源の開口径を大きくすることで低周波数特性を改善したものを3基(それぞれホーンスピーカ2台とパワーアンプ1台とで構成される)を新規製作し、MUレーダーから南西・西・北西側へ100〜150m離れた地点に設置した。ホーンスピーカからそれぞれ独立した音波波形を送出できるように、8ビットD/A変換ボードを設計製作し、高速パーソナルコンピュータ(PC)に接続した。背景の温度・風速場に応じて決定された適切な音波形のパラメータは、レーダー制御器からPCに送られ、複数の音源を組み合せてアレイを構成し、任意の方向に音波ビームを向けて放射することができるように設計されている。実際に、3台の音源を組み合わせて音波のビーム方向を走査してRASS観測を行ったところ、理論予測された高度範囲で音波が相互に干渉し強いRASSエコーを散乱することが実証され、本研究で開発された音源アレイが正常動作することが確認できた。 従来、対流圏界面に至るRASS観測は水平風速の弱い条件でのみ可能であったが、本研究で高出力音源を多数配置し、最適なレーダーのアンテナビーム方向を予測する技術を改良した結果、平成8年7月のRASS観測では、高度12km付近のジェット気流のピークで水平風速が30m/sを上回る状況下においても、対流圏界面を越える高度17km付近までの温度・風速プロファイルを時間分解能3分で連続観測することに成功した。また、平成8年10月のRASS観測では水平風速60m/sを越えるジェット気流のピーク高度まで連続的に観測できた。これらの成果は今後、低気圧・前線等の気象擾乱時においても高高度にわたる安定した連続観測が可能となることを示唆するものである。 本研究で行った音源システムの開発についての速報を地球電磁気・地球惑星圏学会春季大会で口頭発表した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] May,P.T.,T.Adachi,T.Tsuda,R.J.Lataitis: "The spatial structure of RASS echoes" J.Atmos.Oceanic.Tech.13. 1275-1290 (1996)
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[Publications] Yamamoto,Y.,T.Tsuda,T.Adachi: "Frequency spectra of wind velocity and temperature fluctuations observed with the MU radar-RASS" Geophys.Res.Lett.23. 3647-3650 (1996)