1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06554038
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
植田 信太郎 東京大学, 大学院理学系研究科, 助教授 (20143357)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 成也 国立遺伝学研究所, 助教授 (30192587)
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Keywords | 分子進化 / 形態進化 / 遺伝子発現系 |
Research Abstract |
生物の系統進化を分子を指標として探ろうとする分子系統進化学的研究はこの四半世紀の間に飛躍的に展開され、生物の系統・分類研究に欠かせない分野となってきた。しかし、分子系統研究からでは生物それぞれの種に固有な形態を論ずることは不可能であった。一方、ショウジョウバエの形態形成に係わる遺伝子群の解析から,これらの遺伝子は他の遺伝子の発現を制御する転写調節因子であることが明らかになった。その結果、それぞれの種はどのような遺伝子発現制御系をもち、またそれらの制御系は生物進化の過程でどのように変遷してきたかを明らかにすることが、形態の進化を分子レベルで理解するために非常に重要な課題であることが示された。 本研究の目的は,遺伝子発現制御系を構成する転写制御因子とそのターゲット遺伝子、この両者の相互作用の結果である「ターゲット遺伝子の発現」を種を越えて定量ならびに定性的に捉えるための解析手法を開発し,遺伝子発現制御系の進化を分子レベルで解析し評価するシステムを構築することにある。 そこで遺伝子発現制御系として転写制御因子POUクラスIIIをもちい研究を進めた。これまでに完了させたプロセスは以下の通りである。(1)先に準備段階としてスタートしていた転写制御因子そのもの構造に関する解析,(2)その成果(塩基配列データに基づく数理解析を含む)を踏まえたin vitro系でのPOU蛋白の発現・分離と精製,(3)POU蛋白と結合したDNA領域のメンブレンに対するアフィニティの違いによるPOU蛋白のターゲット遺伝子の分離。現在は,得たターゲット遺伝子の構造解析と共に,遺伝子発現系としての機能同定(ターゲット遺伝子に対するPOU蛋白の転写制御活性の解析)を進めている。また,種を越えた遺伝子発現調節の解析のために,種々の生物種由来のPOU遺伝子の一次解析をおこなっている。
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[Publications] Sumiyama K.: "Phylogenetic analysis of human heuro-specific POU class 111 genes" Anthropological Sciences. 103(印刷中). (1995)
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[Publications] Saitou N.: "Evolutionary rate of insertions and deletions in non-coding nucleotide sequences of primates" Mol.Biol.Evol.11. 504-512 (1994)