1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06555021
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
太田 雅壽 新潟大学, 工学部, 助教授 (60092673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 郁生 根本特殊化学(株), 研究開発部, 研究員
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Keywords | ESR線量計 / 熱蛍光スペクトル / グラセライト / アルカリ金属硫酸塩 / 希土類硫酸塩 |
Research Abstract |
硫酸塩結晶に放射線照射したさいに生成するSO_3^-ラジカル量をESRにより測定する放射線被ばく線量計用素子の開発を目的として,グラセライト(K_3Na(SO_4)_2を異種陽イオンで付活した各種試料を合成し,X線で照射したのち,ESR特性と各種蛍光特性を測定し,それらの結果を照合することから,放射線感受性の発現を促進する付活剤を推定した。その結果,希土類イオンで付活した試料の場合,3価のLa,Pr,Nd,Gd,Tmの各イオンで付活した試料はX線照射に伴うSO_3^-ラジカルの生成量が多かった。とくに3価で安定なLaイオン,Gdイオン,Yイオンで付活した試料は極めてSO_3^-ラジカルの生成量が多かった。他方,2価のEuイオンおよび2価と3価の混合状態のSmイオンで付活した試料はX線照射に伴うSO_3^-ラジカルの生成量が少なかった。また,3B族のAlイオンおよびInイオンで付活してもSO_3^-ラジカルの生成量は少なかった。これらの結果から,SO_3^-ラジカルの生成を促進する付活剤としては,3価で安定なイオンでかつそのイオンサイズが母結晶のイオンサイズと類似しているイオンが適当であると推察した。そこで,GdイオンおよびYイオンで付活した試料を用いて実用試験用素子の試作を行った。石英ガラス管に試料粉末を封入した素子でX線に対する吸収線量依存性を調べた結果,熱蛍光法とほぼ同程度なダイナミックレンジを確保できると思われる。 X線照射したグラセライト試料におけるESRスペクトルは,等方的で他のラジカルを含まないなSO_3^-ラジカルのシグナルを示す。そこで,マイクロ波の変調幅を大きくすることによりSO_3^-ラジカルのESRシグナルを拡大したのち,SO_3^-ラジカルに相当するスペクトルを取り出し,二重積分することにより相対スピン濃度を求めためのパーソナルコンピュータ用プログラムを作成し,SO_3^-ラジカル量を評価した。
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