1996 Fiscal Year Annual Research Report
超電導高磁場を利用した磁気研磨法による内面のナノメータ表面の創成
Project/Area Number |
06555032
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
進村 武男 宇都宮大学, 工学部, 教授 (30008049)
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Keywords | 磁気研磨 / 内面研磨 / ナノメータ表面創成 / 超電導マグネット / 高磁場 / 磁性流体 / 超微粒研磨材 |
Research Abstract |
本研究は,現在まで実現できなかった高磁場(3T)環境を超電導マグネット装置を用いて実現させ,『超電導高磁場条件』と『特殊微粒研磨材混合磁性流体』を組み合わせた精密磁気研磨法により,細長い原子力利用関連・クリーンテクノロジー関連のクリーンパイプ内面に対する新しいナノメータ超精密表面創成技術の開発を最終目的に設定して研究した.得られた成果は次の通りである.(1)冷凍機冷却型超電導マグネット装置を実験室に設置し,3Tの超電導高磁場を発生させることに初めて成功した.(2)ナノメータ表面創成に必要な超微粒研磨材混合特殊磁性流体を試作し,加工域における作用磁力(研磨圧力)が,通常の磁性流体及び磁性砥粒(鉄粉)のみの作用磁力と比較して低く,その差異と圧力発生のメカニズムを明確にした.(3)研磨圧力は研磨材混合のために低下すること,磁力低下は磁場分布の値(磁場強度とその変化率の積)の増大によって補正可能であることを確認した.(4)磁場分布の値は,磁極の形状寸法,磁極の極性選択とその配置(吸引磁場と反発磁場の差異)に著しく影響されることを明確にした.(5)磁場分布の値の最適化の見通しを得るために,電磁コイルとレアア-ス永久磁石を用いた基礎実験を実施し,磁場分布が研磨圧力に及ぼす影響を明らかにした.(6)適切な反発磁場分布を選定すれば,吸引磁場分布における研磨量よりも大きくなることを明らかにした.(7)パソコンを用いた有限要素法(FEM)磁場解析は有力な手段であり,FEM解析の結果が測定結果がほとんど一致することを明らかにでき,今後のFEM解析展開の妥当性とその有用性を確かめることができた.なお,超電導高磁場での研磨実験は進行中であり,加工特性,加工機構,表面性状等の評価は今後に持ち越されることになるが,超電導磁気研磨法の期待も大きい.
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[Publications] 進村武男: "磁気研磨法に関する一考察-磁気砥粒に作用する磁力とその役割" 1995年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集. 479-478 (1995)
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[Publications] 進村武男: "磁気研磨法によるファインセラミックスの平滑加工" 1995年度砥粒加工学会学術講演会講演論文集. 331-336 (1995)
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[Publications] 進村武男: "円筒磁気研磨法に関する研究-磁性砥粒の挙動と研磨圧力発生のメカニズム" 精密工学会誌. 62. 258-259 (1996)
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[Publications] 進村武男: "内面磁気研磨法の研究-研磨特性に及ぼす磁場分布の影響" 1996年度砥粒加工学会学術講演会講演論文集. 122-123 (1996)
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[Publications] 進村武男: "磁気研磨法による窒化けい素セラミックスの精密仕上げ" 砥粒加工学会誌. 40. 229-235 (1996)
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[Publications] 進村武男: "磁気研磨法による内面の平滑加工に関する研究(第6報,磁性砥粒の強制かくはん作用効果)" 日本機械学会東海支部第46期総会講演会講演論文集. 99-100 (1997)
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[Publications] 進村武男: "磁気研磨法による内面の平滑加工に関する研究-スラリー循環方式研磨法の提案と研磨特性" 1997年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集. 2 (1997)