1994 Fiscal Year Annual Research Report
硬質薄膜特性の先端評価システムの開発と利用に関する研究
Project/Area Number |
06555034
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
帯川 利之 東京工業大学, 工学部, 助教授 (70134830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 靖則 島津製作所, 試験計測事業部, 主任
金沢 憲一 千葉工業大学, 工学部, 助教授 (30169544)
笹原 弘之 東京工業大学, 工学部, 助手 (00205882)
白樫 高洋 東京工業大学, 工学部, 教授 (50016440)
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Keywords | 硬質薄膜 / 硬度試験 / 微小硬度 / 弾塑性有限要素法 / 分子動力学 / コーテッド工具 / TiN薄膜 / 圧子 |
Research Abstract |
硬質薄膜の機械的特性は,通常,数ミリグラムの極微小荷重による硬度試験で評価されるが,軟質母材の変形,薄膜形成時に生じる引張り残留応力,薄膜と母材の結合力等が微小硬度に影響する.本研究では,これらの影響因子を正確に評価するために,硬度測定過程の数値解析等によるソフトウェア的手段を確立すること,ならびに,上述の微小硬度評価法を実際的な問題,すなわちに窒素イオン注入工具およびコーテッド工具の評価などに適用することを目的としている. 本年度は硬質薄膜特性の先端評価システムの開発を主として行い,二つの研究グループの間で密接に情報を交換しながら研究が進められた.購入したエンジニアリングワークステーション上では,硬質薄膜特性評価のためのソフトウェア開発を行った.また現有の超微小硬度計に購入した荷重条件制御用ボードと除振台を増設し,ソフトウェアに対応させた超微小硬度の測定とハード・ソフト間のインターフェイス開発を行った.硬質薄膜特性評価のためのソフトウェア開発は,弾塑性有限要素法と分子動力学を用いて行った.有限要素モデルは巨視的な応力や変形を対象とし,分子動力学モデルは格子欠陥やコーティング層の結合部の欠陥等を対象としている.分子動力学モデルについては,巨視的モデルと対応した検討が今後必要である.一方,超微小硬度測定を遠隔操作で行うことにより,測定者の動きによって生ずる振動や空気の流れを除くことができ,測定の信頼性が飛躍的に向上した.この装置を用いて,種々の母材の上にPVDコーティングしたTiN薄膜の超微小硬度を測定し,硬度に及ぼす母材の影響,ならびに正確に硬度測定が可能な限界荷重を明らかにした.超微小硬度測定では,圧子先端の丸みが無視できないので,これの補正法について検討を行っている.また,超微小硬度には基準試験片が存在しないので,金-パラジウム合金などを基準試験片として採用できないか検討を進めている.
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