Research Abstract |
1.搬送試験融解管路の再製作 前年に製作した,リキッドアイス搬送・流動・試験ダクトは,試験部が長さ490mmと短かく,またその他の点においても改善の余地があることが明らかとなったので再製作した.新らしい試験装置は,リキッドアイス循環系,リキッドアイス製造・貯蔵部,および冷却用ブライン循環系より構成されている. 試験部は,高さおよび幅60mm,流れ方向長さ1000mm水平矩形流路であり,透明アクリルにより製作されている.上下面は加熱面であり,前面は流路内の融解挙動を観察するため二重ガラスを用いた.加熱面には,厚さ5mmのアクリル板の両面に,厚さ50μmのステンレス箔を接着し,表面をメーンヒーター,裏面をガードヒーターの構造として,等熱流束加熱の構造とした.加熱面温度測定のため,加熱面上にφ0.1mmクロメル・アルメル熱電対を,入口より50mm間隔で4箇所,その後100mm間隔で3箇所,さらに200mm間隔で2箇所取り付けた. 実験は,初めにリキッドアイス内にて所定の濃度に設定されたエチレングリコール水溶液を冷却し,所定のI.P.F.のリキッドアイスを生成した. 2.研究成果および特記すべき点 (1)熱伝達挙動は,氷粒子の融解潜熱の影響を強く受け,流路内のI.P.F.の不均一性が,上下加熱面の熱伝達特性に大きな効果を及ぼす.つまり,流路下部においては,加熱面上に融解液膜が成長するため,その中に含まれる氷粒子は非常に少ないので,氷粒子の融解が,直接加熱面に及ぼす影響は小さい.一方,上部加熱面では,流速が非常に速い場合を除き,氷粒子は加熱面に接触しており,氷粒子の融解が加熱面の熱移動に常に効果を及ぼす. (2)局所熱伝達率は,熱流束の増加に伴い増大する.また,流速の変化は,I.P.F.の均一性に影響を及ぼし,それが熱伝達特性に大きな効果を及ぼす.したがって,今後はP.T.V.の手法を用い,氷粒子が融解する過程でどのような流動挙動をするのか把握する必要がある.
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