1995 Fiscal Year Annual Research Report
ナノクリスタル表面層をもつ磁区微細型高周波用超低損失アモルファス超薄帯磁心の開発
Project/Area Number |
06555097
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Research Institution | KUMAMOTO INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
八木 正昭 熊本工業大学, 工学部, 教授 (80005371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沢 孝雄 (株)東芝, 材料部品開発試作センタ, 課長
山崎 二郎 九州工業大学, 工学部, 教授 (40108668)
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Keywords | Co基アモルファス合金 / 極薄薄帯 / 超低損失磁心 / 高周波特性 / 微細磁区構造 |
Research Abstract |
本研究は、極薄のCo基アモルファス超薄帯を作製し、種々の熱処理によって、薄帯幅方向の磁区の生成、磁壁のピンニング、磁区発生核のナノクリスタル層の析出による磁区の微細化などを図り、渦電流損失の低減させ、MHz帯で動作できる超低損失磁心を開発することを目的としている。 本年度は計画にしたがって、アモルファス超薄帯の作製、種々の熱処理条件の検討および磁気特性測定と磁区観察を次のとおり行った。 (1)極薄アモルファス超薄帯の作製;(Fe-Co)x (Si_y-B_<1-y>)_<100-x>, (x=75-81, y=0.2-0.8)の零磁歪組成を中心に作製した。作製したアモルファス薄帯は板厚5〜10μm、幅5mmである。 (2)幅方向磁界熱処理と磁壁のピンニング;種々の組成の試料に対して、幅方向磁界熱処理と磁壁ピンニングのの熱処理を検討した。その結果、単なる歪取り熱処理に比べ、組成と熱処理条件を選ぶと30〜50%磁心損失を低減できることを明らかにした。得られた成果は、1MHzでの磁心損失が従来のアモルファスやフェライト磁心の1/3以下の極めて低いもので、また透磁率の周波数特性が約1桁高いものである。。 (3)ナノ結晶層の析出と磁区の微細化;表面酸化による組成のずれを利用してナノ結晶を析出させ、磁化反転の微細磁区の発生核の導出を試みた。その結果、B量の多い組成ではCoなどの結晶相の析出が起こりやすいことが分かった。しかしB量を多くすると平滑な薄帯の作製が困難になる傾向があり、ナノ層による磁区の微細化効果を十分に得るに至っていない。現在、この問題について薄帯作製と熱処理の条件をさらに詳細に検討している。 本研究期間は一応終了するが、分担者・山崎と協力して、上記(3)の問題を中心にさらに1か年余の予定で研究を行ない取りまとめたいと考えている。
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[Publications] 迫越、中馬、山崎、八木: "磁壁ピンニングを有するアモルファスリボンの磁区と磁化課程" 第19回日本応用磁気学会学術講演概要集. 62 (1995)
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[Publications] 中馬、迫越、山崎、八木: "幅方向に異方性を誘導したアモルファスリボンの磁区と磁化課程" 平成7年度電気関係学会九州支部連合大会講演論文集. 437 (1995)
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[Publications] 八木: "高周波電力用アモルファス磁性材料" AELE Record(熊本工業大学・応用エネルギーエレクトロニクス研究所報告). VOL. 1 NO. 1. 16-27 (1995)
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[Publications] 迫越、中馬、山崎、八木、山岡、小沢: "Co基アモルファス薄帯の磁壁ピンニングと高周波特性" 電気学会マグネテイックス研究会. MAG-95-159. 7-12 (1995)