1994 Fiscal Year Annual Research Report
ニオブ酸チリウム結晶の反転ドメインを利用した高精度・高速光ビーム偏向器の開発
Project/Area Number |
06555098
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 僖良 東北大学, 工学部, 教授 (00005365)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 哲男 (株)トーキン, 商品開発研究所, 部長
山田 顕 東北大学, 工学部, 助教授 (80134021)
|
Keywords | 光偏向器 / ニオブ酸リチウム / 反転ドメイン / 圧電アクチュエータ / 強誘電体 / ねじり振動子 |
Research Abstract |
本研究代表者は、LiNbO_3圧電結晶板をキュリー点付近で熱処理すると、+面側に板厚の半分の層状反転ドメインが形成される現象を発見した。本研究は、この反転ドメインを巧みに利用することにより、圧電結晶単体で回転変位の発生が可能なアクチュエータおよびこれを用いた小形な超精密高速光ビーム偏向器を開発することを目的としている。このため本年度は、回転変位発生の最適結晶切断方位の検討、光偏向性能の理論的検討、素子構造と製作法の検討、試作と偏向性能の評価などを行った。以下に得られた成果を要約する。 1.反転層を形成したLiNbO_3結晶板において、屈曲変位を生ぜず、ねじり変位のみを効率よく発生させるための素子切り出し方位の探索を行い、148°回転Y板より、長辺をZ′軸から52°傾けて切り出すのが最適であることを見出した。2.ねじり変位アクチュエータの動作可能温度範囲を明らかにするため、-100〜150℃の範囲で圧電定数の温度特性を測定し温度依存性が十分小さく広い温度範囲で使えることを示した。3.反転層を利用したねじり変位アクチュエータの振動解析を行い、直流電圧印加時および共振駆動時の回転角と印加電圧との関係を求めた。また、大きな光偏向角と高速動作を可能にするための、素子設計指針を確立した。4.薄い結晶に板厚の半分の反転層を形成するための熱処理条件の検討を行うとともに、ねじり変位アクチュエータの試作を行った。また素子固定法についても検討を行った。5.試作したねじり変位アクチュエータの電気的諸特性を測定するとともに、ねじり変位のみが強勢に励振れることを確認した。6.光偏向器を試作し、光偏向角の直流電圧依存性を測定した。その結果、長さ17mm、幅0.1、厚さ0.1mmの小形な素子で約24°の大きな光ビーム偏向が可能なことを実証した。
|
-
[Publications] K.Nakamura: "Light Defelectors Using a LiNbO_3 Torsonal Vibrator with a Polarization-Inverted Layer" Proc.1994 IEEE Ultrasonics Symposium. 1. 603-606 (1995)
-
[Publications] K.Nakamura: "Ferroelectric Domain Inversion in LiNbO_3 and Its Application to High Precision Piezoelectric Actuators" 1994 MRS Fall Meeting Symposium Proceedings. (1995)
-
[Publications] 内野 研二: "精密制御用ニューアクチュエータ便覧" (株)フジ・テクノシステム, 1087 (1994)