1994 Fiscal Year Annual Research Report
弾性表面波を用いた新成膜技術による金属人工格子ヘテロ界面のナノ構造制御
Project/Area Number |
06555114
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
角田 匡清 東北大学, 工学部, 助手 (80250702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越村 正己 三菱マテリアル(株), セラミックス研究所, 主任研究員
芝 隆司 日立製作所, 映像メディア研究所, 研究員
高橋 研 東北大学, 工学部, 助教授 (70108471)
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Keywords | 弾性表面波 / 成膜技術 / 金属人工格子 |
Research Abstract |
本研究の目的は、基板の弾性表面波励振により、成膜される金属薄膜の微細構造を制御する技術を、巨大磁気抵抗(GMR)効果を示す金属人工格子薄膜の作製に応用し、界面での異種金属原子同士の混合状態を最適に制御した金属人工格子薄膜を作製し、高感度磁気式回転センサー等の実用素子の開発を行うことにある。本年度は、金属人工格子薄膜の作製に先立って、必要不可欠である以下の要素技術の研究を重点的に行った。 1.高周波数励振用基板の作製:弾性表面波の波長をより短く、制御すべきナノ構造に近づけるために、これまでのf=45MHzに加え、70MHzと100MHz励振用のすだれ状電極を設計し、ニオブ酸リチウム単結晶基板上に形成した。f,3f,5fの周波数を利用して最大500MHzの励振・計測システムを構築した。 2.単層薄膜微細構造に与える弾性表面波の影響の解明:上記で作製した励振基板に、種々の単一金属を真空蒸着法により成膜し、弾性表面波の及ぼす影響について検討した結果、Au,Ag,Al,Cu等の融点の低い金属では、弾性表面波の振幅増大あるいは周波数の増加にともなって、結晶粒径が増大し、表面性状の凹凸が大きくなるのに対して、Mn,Fe,Co,Ni等の融点の高い金属では振幅および周波数依存性がほとんど見られないことが判明し、弾性表面波による基板励振が金属薄膜に及ぼす効果は、基板温度を上昇させた場合と類似の効果を持つことが明らかとなった。また、成膜中の表面弾性波の通過特性の測定と、薄膜の初期成長過程(膜厚100Å以下)における各段階の薄膜の磁気特性の測定・解析との対応関係から、弾性表面波の通過特性が極小値をとる膜厚が、薄膜の微細構造が島状から連続状に変化する膜厚に対応することが明かとなり、さらに、島状の強磁性薄膜に50Å程度の非磁性膜を積層した二層膜においてもGMR効果が観測されることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)