1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06555175
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
上殿 明良 筑波大学, 物質工学系, 講師 (20213374)
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Keywords | 低速陽電子 / モデレーター |
Research Abstract |
モデレーターのテストと条件の最適化のため、超高真空を達成できる真空容器の設計を行い,製作を完了した.この装置は,全長約1.5メートルで,試料部及び線源部チャンバーに装備されたターボ分子ポンプにより,10^<-6>Paの真空を達成した.高エネルギーの陽電子と低速陽電子をエネルギー弁別するため,ビームラインは,90度の角度で曲がっている.陽電子は,ビームラインに直接巻かれた平型の銅線と,試料部及び線源部の4個の直径約300ミリのコイルにより,線源部から試料部まで導かれる.低速陽電子の加速は0〜数百eVまで可能である.実際に低速陽電子ビームを発生出来ることを確認するため,従来からもちられているタングステンを利用したコンバータ-を用いてビームラインをテストした.この結果,予想された低速陽電子強度が得られた.コンバータ-の開発のためには,超高真空を達成できる低速陽電子ビームラインを製作することが条件である。この意味で,本研究の第一段階を終了したと評価できる.さらに,本研究で製作した,低速陽電子ビームラインにより発生した低速陽電子を,試料に打ち込み,発生したγ線を半導体検出器により検出したところ,十分低いバックグラウンドで,陽電子消滅γ線ドップラー広がりが測定できることがわかった.この実験結果は,本装置を用いて,試料表面の欠陥を検出できることを示している.すなわち,本研究により,試料表面近傍の評価装置として用いることのできる.卓上型の直流型低速陽電子ビームが製作可能であることが実証された.イリジウムをモデレーターとして使用することにより,従来から用いられてきたタングステン・モデレーターと同程度の変換効率を得た。イリジウムの利点は,融点がタングステンよりも低いため,より低い温度でモデレーターを焼鈍できることにある。本実験により,より扱いやすいモデレーターを開発することに成功した.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] A.Uedono: "Defects in As-Grown Si Probed by Positron Annihilation" Trans.Mat.Res.Jpn.14B. 1297-1300 (1994)
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[Publications] A.Uedono: "Defects in SiO_2Films Deposited on Si Substrates Probed by Monoenergetic Positron Baams" Trans.Mat.Res.Jpn.14B. 1373-1376 (1994)
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[Publications] A.Uedono: "Study of Diamond Films Synthesized on Si Substrates by Monoenergetic Positron Beams" Trans.Mat.Res.Soc.Jpn.14B. 1575-1578 (1994)
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[Publications] A.Uedono: "Oxygen Microclusters in Czochralski-Grown SiProbed dy Positron Annihilation" Jpn.J.Appl.Phys.33. L1131-L134 (1994)