1996 Fiscal Year Annual Research Report
ペロブスカイト構造を基本とする酸化物人工超格子の原子層エピタキシ-と物性評価
Project/Area Number |
06555183
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鶴見 敬章 東京工業大学, 工学部, 助教授 (70188647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 利夫 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (80233956)
大橋 直樹 東京工業大学, 工学部, 助手 (60251617)
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Keywords | 人工超格子 / 原子層エピタキシ- / ペロブスカイト構造 / 誘電性 / バンド計算 |
Research Abstract |
本研究は、ペロブスカイト構造の誘電性、強誘電性に着目し、同構造を有し化学組成の異なる2種類の任意の周期、厚みで積層して人工超格子を作製する技術を確立し、その物性を評価するとともに、電子構造の計算法を提案することを目的としている。平成8年度の研究成果を以下にまとめる。 1)人工超格子のバンド計算法の確立:クラスター分子軌道計算法であるDX-Xaで単位格子レベルでの波動関数を正確に求め、強結合近似法で人工超格子のバンド構造を計算することを試みた。その結果、比較的短い計算時間で複雑な人工超格子のバンド構造を計算が可能であることがわかった。計算により、結晶格子の〔111〕方向に積層すると間接遷移型から直接遷移型への変換が可能であることが示された。 2)人工超格子の作製と物性評価:チタン酸バリウム-チタン酸ストロンチウムの人工超格子を作製し、その誘電性について評価した。実験に使用した試料は、平均の化学組成と全膜厚は一定で積層周期のみが異なっている。測定の結果、人工超格子の誘電性は積層構造により大きく異なり、自然界に存在する両者がランダムに混ざり合った固溶体よりも、一定の積層構造を形成することで誘電率が3倍程度増大することが明らかとなった。また、このような積層構造の人工超格子では低周波領域に大きな誘電分散が確認された。本研究では、このような特性の微視的メカニズムの解明には至らなかったが、人工超格子の示す特異な物性のひとつを発見した。微視的メカニズムの解明は今後の研究課題である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] S.M.Nam: "Fabrication of BaTiO_3/SrTiO_3 Artificial Superlattices by Atomic Layer Epitaxy and Thcir Dielectric Properties" J.Koren Phys.Soc. 29. S632-S635 (1996)
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[Publications] Takaaki Tsurumi: "Barium Titanate-Strontium Titanate by Molecular Beam Epitaxy" Ext.Abs.The 6th US-Jpn Seminor Dielectr.Piezo.Ceram.85-88 (1995)
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[Publications] T.Tsurumi: "Fabrication of BaTiO_3/SrTiO_3 Artificial Superlattice and Its Dielectric Properties" Proc.Int.Symp.Appl.Ferroelectrics X. (印刷中).
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[Publications] Y.Ishibashi: "Structural Analysis of Artificial Superlattice by X-ray Diffraction Method" MRS-J. 20(印刷中).