1994 Fiscal Year Annual Research Report
超音波インプランテーションによる材料の生体活性制御
Project/Area Number |
06555186
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
尾坂 明義 岡山大学, 工学部, 教授 (20033409)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅田 雅之 (株)クラレ, メディカル研究開発室, 研究主任
早川 聡 岡山大学, 工学部, 助手 (20263618)
大槻 主税 岡山大学, 工学部, 講師 (00243048)
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Keywords | ポリメタクリル酸メチル / 生体活性付与 / 超音波 / インプランテーション / ガラス / 微粒子 |
Research Abstract |
生体活性材料は,体内で骨類似のアパタイト層をその表面に析出させ,組織と直接結合する能力をもっている。ポリメタクリル酸メチル(PMMA)は,生体内では線維性の包皮組織に覆われ,生体不活性である。しかし,生体活性が付与されれば,優れた性質の医用材料としてさらにその応用範囲は拡大されるであろう。ここでは,PMMA基板を,生体活性ガラス(CaSiO_3)の微粒子を懸濁させたアルコール・THF系溶液中で超音波刺激し,これらガラス微粒子を基板表面に超音波インプランテーションすることによって,PMMAへの生体活性の付与を試みた。 1.懸濁溶液中のエタノールとTHFの混合比について THFにより膨潤したPMMA表面は,超音波インプランテーションに際してガラス粒子で研削される。種々の懸濁ガラス粒子重量濃度(0〜500mg/20mL懸濁液)とエタノール/THFの混合比について調べたところ,THF比(体積%)>40で研削効果が顕著となった。また,ガラス粒子重量濃度が500mg/20mLの系の方が30mg/20mLよりも研削効果が大きく,これはインプラント効果が500mg系の方が大きいことを意味する。 2.PMMA基板表面におけるガラス微粒子のインプランテーションと分散状況 SEM-EPMAでインプランテーション後の基板表面および表面の断面を観察したところ,THF混合比が30%以下ではガラス粒子またCaおよびSi原子は表面層には検出できなかった。THF混合比が40%では表面近傍に,また60%では表面より150μmの深さにまでガラス粒子がインプランテーションされた。 3.生体活性の検討 体液と無機イオンおよびその濃度が等しい擬似体液を作成し,pH=7.2および36.5°に保ち,2.で準備した基板を浸漬した。その表面を薄膜X-線回折・反射FT-IRまたはSEMで観察したところ,浸漬後約6時間でアパタイト層が検出された。このことは,ガラス微粒子のインプランテーションが,生体活性付与に有効な手段であることを示す。
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