1994 Fiscal Year Annual Research Report
常圧プラズマを用いた窒化による窒素侵入型希土類磁石材料の開発
Project/Area Number |
06555213
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高田 潤 岡山大学, 工学部, 教授 (60093259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三島 啓男 戸田工業(株), 企画部, 研究員
桑原 秀行 (財)応用科学研究所, 第一研究室, 室長 (90132795)
難波 徳郎 岡山大学, 環境理工学部, 助教授 (80218073)
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Keywords | 窒素侵入型希土類磁石 / 窒化 / プラズマ(減圧,常圧) / 磁気特性 / 組織 / 窒素量 / 鉄化合物 |
Research Abstract |
本年度前半は,主としてガス窒化による窒素侵入型希土類磁石化合物Sm_2Fe_<17>N_Xの合成について出発原料Sm_2Fe_<17>の組成および組織の影響を検討し,従来にない新しくかつ興味ある成果を得た。その成果の一部は平成6年11月に開催された“粉体粉末自冶協会平成6年度秋季大会(名古屋)"で発表した。本年度後半(平成7年1月現在)には,プラズマを用いた窒化によるSm_2Fe_<17>N_xの合成における合成条件の影響について検討した。現在までに得られた成果を以下に示す。 [A]N_2ガス窒化によるSm_xFe_<17>N_x化合物の合成:Sm量が異なる三種類の組成のSm_2Fe_<17>化合物を溶製し,これを出発原料とし,主としてN_2ガス1気圧下で種々の条件で窒化を行い,出発組成,均一化焼鈍,原料粉の粒径,窒化条件(温度,時間)について検討した。また,窒化時に生成し,Sm_2Fe_<17>N_xの特性に悪影響を与えるα-Feの生成機構についても検討した。(1)出発組成の検討:均質化焼鈍中のSmの蒸発と組織の均質化の点で,化学量論組成Sm_2Fe_<17>より少しSmの多い組成が望ましいことが分かった。(2)窒化前の焼鈍の検討:組成・組織の均一化のために,窒化前の出発原料の焼鈍が必要不可欠であることが明らかになった。特に,この焼鈍はその後の窒化材の組成,組織および磁気特性に著しい影響をもたらすことを実験的に明らかにした。(3)原料粉の粒径の検討:粒径の小さい粉末ほど,窒化組織は均一となることが分かった。(4)高純度なSm_2Fe_<17>N_xの合成:出発組成,均質化焼鈍,粒径および窒化条件の最適化により,従来報告されているSm_2Fe_<17>N_xよりも高純度な(X線回析強度および組織上)Sm_2Fe_<17>N_xの合成に成功した。(5)α-Feの生成の検討:不純物相のα-FeはSm_2Fe_<17>N_xの分解により,粒子表面に生成することを初めて明らかにした。 [B]プラズマを用いた窒化によるSm_2Fe_<17>N_xの合成:プラズマの発生条件(ガス圧およびガス混合比)および窒化条件(温度,時間)の影響を詳細に検討した。(1)低圧プラズマ窒化:本年度は主に直流プラズマを用いた窒化を行った。(1)プラズマ窒化ではガス窒化よりも低温でSm_2Fe_<17>N_xが合成できることを明らかにした。(2)しかし,低圧プラズマでは窒化中のSmの蒸発による組成ずれを避けなければならないことが分かった。(2)高圧プラズマ:現在までの予備的実験から,(1)ガス窒化よりも低温で窒化が進行すること,(2)窒化中のSmの蒸発が抑制され,均一な試料が得られる可能性を見い出した。即ち,高圧プラズマ窒化はSm_2Fe_<17>N_xの合成には効果的であることが期待される。本年度末(平成7年3月末)までには高圧(常圧)プラズマ窒化の最適条件を確立できる予定である。
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