1996 Fiscal Year Annual Research Report
高温における複層(主に固体層/固液体共存層)試料の材料試験法開発の基礎研究
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06555219
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
江見 俊彦 東北大学, 素材工学研究所, 教授 (30250822)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 徹也 川崎製鉄(株), 鉄鋼プロセス 研究部
柴田 浩幸 東北大学, 素材工学研究所, 助手 (50250824)
佐藤 俊一 東北大学, 素材工学研究所, 助教授 (30162431)
鈴木 幹雄 東北大学, 素材工学研究所, 助教授 (10261471)
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Keywords | 傾斜温度場 / 鋼 / 引張試験 / 曲げ試験 / 割れ限界歪み量 / 界面熱抵抗 / δ→γ変態 |
Research Abstract |
傾斜温度場における引張りおよび曲げ試験機を用いて連鋳鋳型内の初期凝固殻の力学的性質と割れ発生限界歪みを測定した。また、チルブロック浸漬実験による初期凝固殻の伝熱と変形解析を行った。これらのデータを用い中炭素包晶鋼高速連鋳時の伝熱異常と不均一凝固の発生機構を検討した。 1.傾斜温度場(直線温度勾配)引張り試験で測定したas-cast材の引張強度は分割チルブロック浸漬引張試験で測定した凝固殻(3-5mm厚さ)の破断強度と良く一致する。温度勾配を有する材料の応力-歪み曲線や引張強度は、その材料の平均温度よりやや高い温度のそれに相当している。最も割れやすい中炭素包晶鋼の引張強度は他の鋼種より高い。 2.傾斜温度場引張りおよび曲げ試験による割れシミュレーションでは、割れは試験片の高温側に発生し、0.2mass%以下では粒界、それ以上では粒界および樹間に発生した。限界歪みはいづれの試験法でも同じ値を示し、炭素濃度が0.001および0.1mass%で大きくなり、同一炭素濃度では硫黄濃度が増加すると低下する。また歪み速度依存性は小さい。 3.チルエブロック浸漬実験では、中炭素包晶鋼組成(0.1〜0.16mass%C)の鋳型表面熱流束が他の鋼組成に比べて低下し、それが顕著になる時期は凝固開始から3秒以降である。この炭素濃度範囲で凝固殻表面凹凸が最大となり、鋳型/凝固殻界面熱抵抗は表面凹凸が大きくなると直線的に増加する。モ-ルドフラックス添加の浸漬実験では凝固殻表面は平滑になる。 1、2より、中炭素包晶鋼の引張強度は高く割れ限界歪みも大きいので、割れ発生頻度の高い理由を材料特性からは説明できない。凝固完了時にδ+γ2相が共存する鋼組成では、凝固直後のδ→γ変態が凝固殻を変形し界面熱抵抗を増やし伝熱不良を起こす。その結果として不均一凝固殻の不均一成長、割れの発生につながる。これを防ぐには表面形成時の冷却速度を抑えδ→γ変態速度を下げることが重要である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Mikio Suzuki: "In-Situ Measurement of Fracture Strength of Solidifying Steel Shells to Predict Upper Limit of Casting Speed in Continuous Caster with Oscillating Mold" ISIJ International. 36. 375-382 (1997)
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[Publications] Chong Hee Yu: "Simulation of Crack Formation on Solidifying Steel Shell in Continuous Casting Mold" ISIJ International. 36. S159-S162 (1996)
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[Publications] Hiroyuki Shibata: "Thermal Resistance between Sdidifying Steel Shell and Continuous Casting Mold with Intervening Flux Film" ISIJ International. 36. S179-S182 (1996)
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[Publications] Mikio Suzuki: "Origin of Heat Transfer Anomaly and Solidifying Shell Deformation of Peritectic Steels in Continuous Casting" ISIJ Intermational. 36. S171-S174 (1996)
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[Publications] 林 浩史: "温度傾斜場における引張り・曲げ試験による鋼の凝固シェル割れ発生限界ひずみの測定" 東北大学素材工学研究所. 52. 39-44 (1997)