1994 Fiscal Year Annual Research Report
水性二相分配系を利用する熱ショックタンパク質の生産とエコロジカルバイオプロセスの構築
Project/Area Number |
06555237
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
駒沢 勲 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (40029476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩盛 弘一郎 宮崎大学, 工学部, 助手 (80235506)
土戸 哲明 関西大学, 工学部, 助教授 (50029295)
久保井 亮一 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (40029567)
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Keywords | 水性二相分配系 / 熱ショックタンパク質 / バイオプロセス / 大腸菌 / GroEL / GroES / CAB / 構造形成 |
Research Abstract |
大腸菌の生産するヒートショックタンパク質(HSP)の中で,目的遺伝子産物であるタンパク質の変性を抑制し,また構造形成過程を促進するシャペロニン(GroEL,GroES)の特異な特性と機能に基づく,合理的な水性二相系バイオプロセスを開発する第一段階として,先ずこれらHSPと目的タンパク質の表面特性の定量的解析を行った.このために,ポリエチレングリコール(PEG)/デキストラン(Dex),PEG/リン酸塩(KPi)系の標準的水性二相系(ATPS1)を母体とし,Triton添加系(ATPS2),およびTriton相分離系(ATPS3)の3種類の系で,これら構成成分濃度・分子量を変化させて,水性二相系自身の疎水性等の特性の定量的評価と体系化を行った. これにより定量した水性二相系を用いて,構造形成過程や各種操作条件(pH,変性剤濃度)における目的遺伝子産物-炭酸脱水酵素(CAB)やシャペロニン(GroEL,GroES)の分配特性を解析し,これらの表面特性を定量的に評価した.この結果,GroELは表面全体としては非常に親水性が強いが,他の大部分の水溶性タンパク質やGroESに比べて局所的な疎水性が強く,一方CABも未変性状態では親水性であるが,部分的に3次構造の壊れたモルテングロビュール状態では非常に局所的な疎水性の強いこと,したがって両者が強く疎水相互作用することを示唆する結果を得た. そこで次に,遺伝子操作により改変した大腸菌(HSP高生産菌-OW10/pND5)を培養し,HSPの生産を行うとともに,上で得たHSPの表面特性結果に基づいて最適設計した環境調和型の水性二相系を用いて,簡便かつ高純度のGroEL,GroESの分離精製プロセスを開発した.
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