1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06555273
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松村 功啓 長崎大学, 薬学部, 教授 (60026309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 三明 長崎大学, 計測分析センター, 助教授 (10039654)
木下 敏夫 長崎大学, 薬学部, 助教授 (60039641)
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Keywords | 電極酸化 / トリフルオロエタノール / アルコール / メディエーター |
Research Abstract |
電極酸化反応は金属などの酸化剤を用いることなく,また常温,常圧で酸化反応を達成できるので理想的な無公害酸化手段と云える。しかし,高い酸化電位を有する化合物を電極酸化したとき,従来の電極酸化の条件では目的の酸化反応は全く起こらないか,非常に低い電流効率を与えるか,いずれかであった。本研究初年度で,2,2,2-トリフルオロエタノール(TFEと略)を溶媒あるいは共溶媒に用いることにより酸化の電位窓を大きく正の方向に拡大し電極酸化反応の対象となる化合物群を飛躍的に増大する可能性があることを見いだした。平成7年度はこの反応系を展開させN-メトキシカルボニル-2,2,2-トリフルオロエチルアミンだけでなく,その同族体である2,2-ジフルオロ体,2-モノフルオロ体も酸化されること,これらの酸化生成物を利用してカルボニル化合物のα位にパ-フルオロアミノアルキル化反応を起こす方法,即ち電極酸化生成物とカルボニル化合物の共存下に塩基を作用させるという方法を見いだした。また,このTFE溶媒系の合成化学反応への応用として,チオアニソールをメディエーターとするアルコールの酸化反応が効率的に進むことを見いだした。一方,TFEの無い溶媒系でのこの反応は低収率であった。さらに,この系に臭素あるいは塩素イオンを加えれば,より効率的に酸化反応が達成できる知見を得た。後者の系では,チオアニソールとハロゲンイオンが二重に働く系即ちダブルメディエーター系が形成されていることを示す知見も得た。
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