1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06555312
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中廣 吉孝 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (10026015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日下 英史 京都大学, エネルギー科学研究科, 助手 (60234415)
新苗 正和 京都大学, 工学研究科, 助手 (50228128)
福中 康博 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教授 (60111936)
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Keywords | 人工ダイヤモンド / グラファイト / ケイ酸ナトリウム / ピロリン酸ナトリウム / 浮選法 / 吸着等温線 |
Research Abstract |
本研究では、疎水性物質相互の分離技術の研究の一環として無機抑制剤と疎水性物質表面の相互作用に着目し、その相互作用の解明のための基礎的研究としてダイヤモンド及びグラファイトへのピロリン酸ナトリウム(Na_4P_2O_7)及びケイ酸ナトリウム(Na_2SiO_3)の吸着について検討を行った。まず、ダイヤモンドとグラファイトへのNa_4P_2O_7及びNa_2SiO_2の吸着実験を、pH8.5、25℃で行った。いずれの抑制剤ともにダイヤモンドへ吸着するが、グラファイトへは吸着しなかった。これらのことより、上記抑制剤がダイヤモンドへ吸着するが、グラファイトへは吸着しなかった。これらのことより、上記抑制剤がダイヤモンド表面にのみ吸着することによって表面親水化し、グラファイトとの浮選分離を可能にしていることを考察した。次に、pH8.5、25℃と50℃でダイヤモンドへのNa_4P_2O_7の吸着実験を行い、得られた吸着等温線から微分吸着熱を求めた。吸着等温線はLangmuir型を示し、いずれの抑制剤もダイヤモンドに対して単分子層吸着をしていることが分かった。また、得られた吸着熱の値は、物理的吸着と化学的吸着の中間程度の水素結合による吸着熱と同程度であり、本実験の濃度領域においてはNa_4P_2O_7がダイヤモンドに特異吸着をすることによって浮遊が抑制されることを推察した。更に、平衡pH8,5、25℃と50℃でダイヤモンドへのNa_2SiO_3の吸着実験を行い、得られた吸着等温線から微分吸着熱を求めた。吸着等温線はFreundlich型を示し、得られた微分吸着熱の値は水素結合吸着と同程度であり、Na_4P_2O_7と同様にNa_2SiO_3もダイヤモンドに特異吸着することによって浮遊を抑制するものと考えられた。最後に、pHを変化させた吸着実験ではいずれの抑制剤ともに吸着のpH依存性が見られた。これは両抑制剤のある特定イオン種が優勢にダイヤモンドに吸着することに起因していると推察された。
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