1995 Fiscal Year Annual Research Report
ニホンナシとリンゴの属間雑種による果樹新品種の創成
Project/Area Number |
06556006
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
伴野 潔 信州大学, 農学部, 助教授 (80127125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田平 弘基 鳥取県園芸試験場, 生物工学研究室, 研究員
建石 繁明 信州大学, 農学部, 教授 (80021070)
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Keywords | ニホンナシ / リンゴ / 属間雑種 / 接ぎ木親和性 / 交配親和性 / 果実品質 / アイソザイム / リンゴ黒星病 |
Research Abstract |
1.属間雑種の生育特性と果実品質の比較調査並びに遺伝解析(伴野・建石分担) これまでに育成された100系統余りの属間雑種について,昨年度に引き続き,生育特性及び接ぎ木親和性を調査した。2年間にわたる接ぎ木親和性の調査から、一般に、属間雑種を接ぎ木繁殖する場合,その母本の属と同じ台木で親和性が高いことが判明した。 一方,これらの雑種は,昨年,早いもので育成6年目を迎え,そのうち,ニホンナシを母本とした11系統及びリンゴを母本とした1系統の合計12系統が初めて開花・結実した。花芳が多く着生した系統については,蕾期にニホンナシ及びリンゴの栽培品種の花粉を受粉して,交配親和性を検討するとともに,結実した果実については収穫期に果実品質を調査した。その結果,これらの属間雑種は,大半のナシやリンゴの品種と不親和性を示すものが多く,同じS遺伝子型の‘新水'と‘幸水'でも親和性に差異がみられるなど,複雑な交配親和性を示した。また,ナシを母本とした雑種の果実は,一般にナシに類似していたが,糖度も13〜14度と高い系統が多く,リンゴのように果皮にほとんどさびがみられず,果皮が滑らかで,香りが強い系統もみられた。 さらに,属間雑種におけるアイソザイムの遺伝子型を明らかにする目的で,ニホンナシ品種及び交雑系統について,各酵素のアイソザイム分析を行ない,各酵素の遺伝子型を決定することができた。 2.属間雑種におけるリンゴ及びナシ黒星病の検定と遺伝解析(田平分担) これらの属間雑種について,上記の病害に対する検定を胞子接種法で行なった。その結果,リンゴ黒星病については,リンゴを母本とする雑種のうち,1系統が抵抗性と判定された。
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[Publications] 宮澤 寛和,ほか: "ニホンナシとリンゴの属間雑種における光合成特性" 園芸学会雑誌 別冊1. 4-5 (1995)
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[Publications] 宮澤 寛和,ほか: "ニホンナシとリンゴの属間雑種における接ぎ木親和性" 園芸学会雑誌 別冊1. 152-153 (1995)
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[Publications] 伴野 潔,ほか: "ニホンナシとリンゴの属間雑種におけるナシ黒班病とリンゴ斑点落葉病の遺伝分離" 園芸学会雑誌 別冊1. 160-161 (1995)
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[Publications] 伴野 潔,ほか: "ニホンナシとリンゴの属間雑種の育成とその特性" 農耕と園芸. 50. 50-51 (1995)
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[Publications] 伴野 潔,ほか: "ニホンナシとリンゴの属間雑種数系統における開花,結実及び果実品質の一般的特性について" 園芸学会雑誌 別冊1. (発表予定). (1996)
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[Publications] 伴野 潔: "リンゴナシ(ナシリンゴ)のできるまで" 長野農林統計協会(農林統計ながの), 5 (1995)
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[Publications] 伴野 潔: "「リンゴナシ」と「ナシリンゴ」" 農山漁村文化協会(現代農業), 4 (1996)