沿岸浅海域における底泥の特性評価と濁り環境の予測手法の開発

1995 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 06556039
• Research Institution: Kyushu University
• Principal Investigator: 高山 昌照 九州大学, 農学部, 教授 (60038312)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 森 健 九州大学, 農学部, 助手 (50117272) ; 四ヶ所 四男美 九州大学, 農学部, 助教授 (80038265) ; 戸原 義男 九州大学, 農学部, 教授 (80038182) ; 東 孝寛 九州大学, 農学部, 助手 (00181066) ; 大坪 政美 九州大学, 農学部, 助教授 (80112316)
• Keywords: 底泥 / 物理・化学的性質 / 力学的性質 / 沈降特性 / 巻き上げ / 濁り / 移流分散 / 数値実験

Research Abstract

1.前年度に引き続き諌早湾底泥の物理・化学的性質、力学的性質および沈降特性について実験的に検討した。得られた主な成果は、以下の通りである。
(1)底泥の排水剪断強度は2〜6kPaであり、大半は2〜4kPaである。練返し強度は、0.2〜0.5kPaの範囲にあり、鋭敏比は7〜18である。また、底泥の強度増加率は0.3〜0.4であり、強度定数φ_1′、φ_2′は、それぞれ25〜35°、30〜40°の範囲にある。
(2)底泥懸濁水の沈降様式が界面沈降から凝集性自由沈降へ移行し始める塩濃度は、大半が0.4〜0.7g/lであり、この塩濃度下における底泥のゼータ電位は-20mV前後であった。また、界面沈降を示すときの界面の沈降速度は、塩濃度5g/l付近で最大となること、塩濃度が一定の場合、沈降速度は窒素分含有量の増加とともに大きくなることが判明した。
2.今津湾底泥の物理・化学的性質を実験的に検討するとともに、今津湾干潟の底生動物の分布を調査した。その結果、底泥中の粘土分と有機物含有量の間に正の相関が認められること、底生動物の総固体数は河川の流入口で非常に多く、それ以外の所では少ないこと、および、単位面積当りの多毛類重量は、酸化還元電位が-150mV付近のとき極大値を示すことが明らかとなった。
3.潮流場のような剪断流場における浮遊底泥の渦動拡散係数と粒子沈降速度を定量化するために、回流型直線水路を用いた室内実験を行った。その結果、渦動拡散係数と粒子沈降速度の値は、流速変動のパワースペクトル形状に依存することが明らかになった。
4.前年度に開発した2次元単層モデルによる沿岸浅海域の濁り環境の予測計算コードを使用して、有明海を対象に濁り解析を行った結果、潮流速、浮遊底泥濃度のいずれも再現性は良好であった。

Research Products

• [Publications] 平松和昭: "(講座)水質環境解析(その7)-濁り環境の解析手法-" 農業土木学会誌. 62巻4号. 335-341 (1994)
• [Publications] Ohtsubo,M.: "Oxidation of pyrite in marine clays and zine adsorption by clays" ASTM STP 1299(Philadelphia). 50-57 (1995)
• [Publications] Ohtsubo,M.: "Depositional and post-depositional geochemist-ry,and its correlation with the geotechnical properties of marine clays in Ariake Bay,Japan" Geotechnique. Vol.45 No.3. 509-523 (1995)
• [Publications] Torance J.K.: "Ariade Bay quick clays:a comparison with the general model" Soils and Foundations. Vol.35 No.1. 11-19 (1995)
• [Publications] 大坪政美: "海成粘土表層部における酸化鉄の生成と粘土の工学的性質" 農業土木学会論文集. 63巻2号. 154-158 (1995)
• [Publications] 嘉門雅史: "沖積層の化学的性質" 土と基礎. 43巻10号. 17-20 (1995)
• [Publications] 大坪政美: "風化による干拓地土壌の化学的・物理的性質の変化" 低平地研究. No.4. 76-89 (1995)
• [Publications] 高山昌照: "周面摩擦を考慮した自重圧密" 農業土木学会論文集. 64巻1号. 145-150 (1996)
• [Publications] 近藤文義: "有明粘土の沈降様式と沈降速度に影響を及ぼす要因" 農業土木学会論文集. 64巻2号. (1996)
• [Publications] 近藤雅秋: "潮流による底泥の巻き上げ特性に関する研究" 農業土木学会論文集. 64巻2号. (1996)
• [Publications] Ohtsubo,M.: "Mineralogy and chemistry,and their correlations with the geotechncial properties of marine clays in ariake Bay,Japan-Comaprison of quick and non-quick clay sediments-" Marine Georesources & Geotechnology. Vol.14 No.3. (1996)