1996 Fiscal Year Annual Research Report
リポソームを利用した牛タイレリア感染症ワクチンの開発
Project/Area Number |
06556052
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小沼 操 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (70109510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
屋代 真彦 バイエルンジャパン(株), 研究開発員
大石 和恵 東燃(株), 総合研究所, チームリーダー(研究
田中 雅之 (株)衛生物化学研究所, 研究員
渡来 仁 岡山大学, 医学部, 講師 (50175139)
杉本 千尋 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (90231373)
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Keywords | 原虫 / 表面抗原 / リポソーム / 組換えワクチン / 合成ペプチドワクチン / 細胞性免疫 |
Research Abstract |
タイレリア原虫のワクチンとして原虫表面抗原(p32)に注目した。p32には原虫の赤血球侵入時に重要なリシン-グルタミン酸-リシン(KEK)配列がある。KEK配列を含む近傍の合成ペプチドでワクチン効果を調べた。日本に分布するタイレリア原虫にはp32遺伝子型により主にIとC型の2型がある。KEK配列はCとI型で異なるため、それぞれの型の合成ペプチドを作出した。ペプチドは8量体として作出し、アジュバンドとしてマンナン被覆リポソームを用いた。合成ペプチド抗原をマンナン被覆リポソームに封入してマウスに免疫するとT1タイプの細胞が活性化され主に細胞性免疫が誘導された。ヒツジとウシ白血球ウイルスの系で、合成ペプチド抗原を用いてTh1系の細胞性免疫を誘導するようなワクチン方法を行うとウイルスの排除に有効であることを明らかとした。 細胞内寄生病原体の排除には細胞性免疫の誘導、特にTh1系の細胞を活性化することが重要である。それゆえタイレリア原虫の合成ペプチドを用いたワクチンの際にマンナン被覆リポソームを用いた。この抗原で子牛を4回免疫した後、脾臓を摘出しC型と1型を含むスポロイドで攻撃した。攻撃後約2ヵ月間、寄生率、ヘマトクリット値、臨床症状等を観察した。その結果、ワクチン群では原虫感染は阻止できないが、寄生率は対照に比べ低く抑えられ、臨床症状(貧血)もほとんど示さず効果が認められた。次にこのワクチンを用い放牧牛で試験を行った。すなわちアンガスの子牛10頭にリポソーム封入ワクチンを実施し、対照には合成ペプチドを封入しないリポソームのみで4回免疫を行い放牧し自然感染による抵抗性を検討した。その結果、ワクチン群では寄生率は低く、ヘマトクリット値の低下も対照に比べ抑えられていた。今後は封入抗原とその抗原量を検討することにより、より効果のあるワクチンが作出できるものと考えている。
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[Publications] Kubota S., et al.: "Population dynamics of T. sergenti in persistently infected cattle and vector ticks analysed by PCR." Parasitology. 112. 437-442 (1996)
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[Publications] Kabeya H., et al.: "An effective peptide vaccine to eliminate bovine leukemia virus (BLV) infected cells in carrier sheep." Vaccine. 14. 1118-1122 (1996)
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[Publications] Ohishi K., et al.: "Induction of bovine leukemia virus Env-specific Th-1 type immunity in mice vaccination with short synthetised peptide" Vaccine. 14. 1143-1148 (1996)