1994 Fiscal Year Annual Research Report
原虫感染症予防に対する新規の免疫調整物質の開発研究
Project/Area Number |
06556053
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research (B)
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
鈴木 直義 帯広畜産大学, 原虫免疫研, 教授 (10003071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小俣 吉孝 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (10132987)
佐藤 基佳 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (50003140)
五十嵐 郁男 帯広畜産大学, 原虫免疫研, 教授 (80159582)
斎藤 篤志 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (10002263)
広瀬 恒夫 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (60003076)
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Keywords | トキソプラズマ / マウス / 合成ペプチド / 免疫調整物質 / 免疫抑制物質 / 感染抵抗性 / リンパ球 / マクロファージ |
Research Abstract |
我が国のみならず世界的規模での家畜生産振興、動物性蛋白資源確保のための動物増産の基本理念は人類への健康食品の供給にある。ピロプラズマ、トリパノゾ-マ、トキソプラズマなど人畜共通原虫感染動物被害は世界規模では最大で、その対策研究は世界の多領域分野からの協力を得て遂行されているが、未だ完全治療薬および予防薬はない。そこで、本研究課題では家畜の原虫感染病予防あるいは軽減に関与する宿主感染防御能賦活作用物質の基礎的開発研究を主体にした畜産振興に寄与することを主題にした。ついで、世界の人エイズ患者の30%以上は脳内トキソプラズマシストの劇症増殖により急性死亡することは衆知の事実であるが、完全予防あるいは治療薬のない現状である。我々が発見した免疫調整効果を有する合成ペプチドの応用開発研究による世界貢献をも研究目的において本研究は遂行されている。 平成6年度は現在最も世界の関心の高い脳内トキソプラズマ保有動物のエイズウイルス感染に伴う宿主病態応答を主眼に研究を進めた。慢性トキソプラズマ感染マウスを用いて、免疫抑制剤を週一回定期的に投与すると5-6週を経過して全例のマウスは略同時日に死亡する。白血球総数の著しい減少、なかでもCD4(+),CD8(+),CD5(+)リンパ球、単球、好中球の減少が著明であった。脳内トキソプラズマシストの破壊と虫体増殖像が一部の脳内に散見された。しかし、リンパ球亜群のCD4(+)リンパ球、あるいはCD8(+)リンパ球をそれぞれの欠乏状態にすると、CD4(+)欠乏マウスの脳内トキソプラズマシスト破壊像が極めて著明であった。一方、同一実験で免疫抑制剤投与に合わせて新規の合成ペプチドを極小量を週2回筋肉内に投与すると、80%以上のマウスは生残した。脳内トキソプラズマシストの破壊は殆ど認められなかった。現時点での実験成績からは、免疫抑制剤投与によるトキソプラズマシスト保有マウスの死亡が脳内トキソプラズマシスト破壊と急性トキソプラズマ増殖によると推定しうる成績は得られてないので、こんご生体内防御応答を別の角度から検討する必要がある。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Omata,Y.et al.: "Transfer of antibodies to kittens from mother cats chronically infected with Toxoplamsa gondii" Veterinary Parasitology. 52,. 211-218 (1994)
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[Publications] Omata,Y.et al.: "Correration between antibody levels in Toxoplasma gondii infected pigs and pathogenicity of the isolated parasite" Veterinary Parasitology. 51. 205-210 (1994)
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[Publications] Ito,M.et al.: "Studies related to immunosuppression in mice with chronic toxoplasmosis" Journal of Protozoology Research. 3. 99-109 (1993)
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[Publications] Takahashi,M.et al.: "Protective immune response of Isospora felis-infected mice against Babesia microti infection" Journal of Veterinary Medical Science. 55. 587-590 (1993)
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[Publications] Saito,A.et al.: "Effects of reactive oxyen intermediate scavengers on antitoxoplasmic activity of activated macrophages" Parasitoogy Research. 78. 28-31 (1992)
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[Publications] Igarashi,I.et al.: "Enzyme-linked immunosorbent assay using-conjugated antibodies for Toxoplasma antibody detection" Journal of Veterinary Medical Science. 54. 585-587 (1992)
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[Publications] 五十嵐郁男・鈴木直義: "トキソプラズマ症の感染と免疫" Modern Media(モダンメヂア), 10 (1993)
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[Publications] 鈴木直義: "免疫の仕組み-人・動物共通原虫病から" 大学保健管理業務職員研修会, 7 (1993)