1995 Fiscal Year Annual Research Report
本態性高血圧におけるアンジオテンシノーゲン遺伝子の役割と地域医療への応用
Project/Area Number |
06557031
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
羽田 明 北海道大学, 医学部, 助教授 (00244541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志度 晃一 北海道大学, 医学部, 助手 (20206098)
近藤 喜代太郎 北海道大学, 医学部, 教授 (80018366)
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Keywords | 本態性高血圧 / 遺伝子多型 / アンジオテンシノーゲン / 転写活性 |
Research Abstract |
これまでの研究により,大学およびその関連病院の受診者の本態性高血圧患者においてアンジオテンシノーゲン(AGT)の235番目のアミノ酸多型【ATG→ACG(Met→Thr)】(M235T)のTTの頻度が高いという我々の解析結果が,鷹栖町の住民健診受診者を対象とした研究でも同様に言えることが,確認できた. また,共同研究により,M235Tが単なる遺伝子マーカーなのか,あるいは高血圧をきたし得る,真の遺伝子変異なのかを検討してきた.その結果,M235T多型は,G-6A多型(-6番目の塩基がGまたはAである多型)と連鎖していることがわかった.また,ゴリラ,オランウータン,チンパンジーなど6種の霊長類DNAをヒトプライマーで遺伝子増幅し塩基配列を決めたところ,すべて235番目はTであり,-6番目はAであった。また,M235TのTTの頻度はCaucasianで17%,日本人で70%,ナイジェリア人で90%と,アフリカでヒトの祖先が発生したという知見と一致する.さらに,-6番目の塩基がAである場合,Gである場合よりも,プロモーターの転写活性が強いことが実験的に確かめられ,TTの遺伝子型をもつヒトはAGTの血中濃度が高いというこれまでのデータと一致する.即ち,M235Tは遺伝子マーカーであり,高血圧を来たす真の遺伝子変異はG-6A多型である可能性が高くなった.しかし,鷹栖の住民健診サンプルおよび他の日本人検体で調べたところ,235Tと-6Aは99%一致しており,本研究における,AGT遺伝子変異および他の遺伝子多型と環境要因の相互作用を調べていく上で,これまでの235番目のタイピング結果を使用することに問題がないことがわかった.
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[Publications] Akira Hata: "Role of angiotensinogen in the genetics of essential hypertension" Life Sciences. 26. 2385-2395 (1995)
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[Publications] Yuichi Oike: "Angiotensin converting enzyme as a genetic risk factor for coronary artery spasm" J Clin Invest. 96. 2975-2979 (1995)
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[Publications] 羽田 明: "循環器疾患予防へのアプローチ-高血圧の分子疫学" 公衆衛生. 59. 837-839 (1995)
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[Publications] 羽田 明: "高血圧に関係する遺伝子" 臨床医. 21. 595-598 (1995)