1995 Fiscal Year Annual Research Report
Duchenne型筋ジストロフィーの治療法開発に向けての分子生物学的研究
Project/Area Number |
06557047
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松尾 雅文 神戸大学, 医学部, 教授 (10157266)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹島 泰弘 神戸大学, 医学部, 助手
西尾 久英 神戸大学, 医学部, 助教授 (80189258)
|
Keywords | ジストロフィン / スキッピング / 遺伝子治療 / アンチセンスオリゴヌクレオチド |
Research Abstract |
Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)は頻度の高い極めて重篤な遺伝性筋疾患であるが、未だその根本治療法は確立されていない。本研究ではジストロフィンのmRNAレベルで遺伝情報を修整するDMDの新しい治療法を確立しようとするものである。そして、極く微量にしか存在しない末梢血中のジストロフィンのmRNAを逆転写酵素を用いcDNAに変換し、重複PCRを用いて増幅する超微量mRNA解析システムを確立することに成功した。また、本システムを用い培養細胞中のmRNA解析システムの確立を図ることができた。 一方、人工的に作成したジストロフィンのミニジーンから転写されたジストロフィンmRNAのスプライシングをアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いて人為的に操作する試験管内の実験を行ない、世界で始めてアンチセンスオリゴヌクレオチドによりスプライシングを制御することに成功した。 これらの成果に基づきmRNAのスプライシングを制御することによりDMDの治療が可能だとする極めて斬新なアイデアが仮説として出された。現在この可能性を現実のものとすべく、その基礎実験を行っている。すなわち、ヒトリンパ芽球細胞株培養液にジストロフィンのエクソン配列に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを添加し、添加数時間後に転写されるジストロフィンmRNAを逆転写酵素PCRを用いて解析し、エクソンのスキッピング誘導を確認しようとするものである。そして、現在までにこのエクソンのスキッピングの誘導が生きた細胞においても可能なことを示唆する予備的な結果を得つつあり、今後のこの研究の推進に大きな研究成果が期待される。
|
-
[Publications] Takeshima, Y.: "Modulation of in vitro splicing of the upstream intron by modifying an intra-exon sequence which is deleted from the dystrophin gene in dystrophin Kobe." J. Clin. Invest.95. 515-520 (1995)
-
[Publications] Cutiongco, E. M.: "More deletions in the 5' region than in the central region of the dystrophin gene were identified among Filipino Duchenne and Becker muscular dystrophy patients." Am. J. Med. Genet.59. 266-267 (1995)
-
[Publications] Ishigaki, C.: "A Japanese boy with myalgia and cramps and a novel in-frame deletion of the dystrophin gene." Neurology. (in press). (1996)