1994 Fiscal Year Annual Research Report
リポフェクション法を用いたLDL需容体遺伝子導入による難治性高脂血症治療法の開発
Project/Area Number |
06557059
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松沢 祐次 大阪大学, 医学部, 教授 (70116101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金田 安史 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助教授 (10177537)
野崎 秀一 大阪大学, 医学部, 助手 (30252646)
山下 静也 大阪大学, 医学部, 助手 (60243242)
竹村 芳 大阪大学, 医学部, 助手 (00161240)
河田 純男 大阪大学, 医学部, 助教授 (90183285)
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Keywords | 家族性高コレステロール血症 / HVJ-liposome法 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
LDL受容体遺伝子異常を原因とする家族性高コレステロール血症(FH)に対する遺伝子治療を開発するため、まず、生体組織に直接遺伝子を導入し、効率よく発現するシステムの開発を行なった。DNAを核蛋白であるHMG1と共にリポソームに包み込み、HVJ(Sendai Virus)の細胞融合能を利用して直接細胞質に導入し、HMG1の働きによりDNAを核内に移行させ、高い発現を得た(HVJ-リポソーム法)。次に本法に利用して動物成体の肝臓にヒトLDL受容体遺伝子を導入した。ヒトLDL受容体遺伝子を含むHVJ-リポソームを肝被膜下および経静脈投与し、ラット肝においてLDL受容体mRNAの発現を確認した。また、高コレステロール食負荷ラットにおいて経静脈的遺伝子導入後の血清コレステロール値の変化を経時的に測定し、約20%のコレステロールの低下を認めた。 これらの実験結果から、HVJ-liposome法によるLDL受容体遺伝子導入によりある程度の血清コレステロール低下が見込めることが明らかになったが、その効果はなお十分でなく、さらにベクターの改良等により導入発現効率を上げる工夫が必要であると考えられた。また、静脈投与の場合他臓器での発現状況についても確認する必要がある。さらに、実際のLDLの肝細胞へのとりこみの促進を標識LDLを用いて確認し、発現LDL受容体の機能についても検討が必要であろう。これらをふまえた上で、HVJ-liposomeの繰り返し投与による効果やその副作用の検討、さらには動脈硬化予防効果についても今後の課題として要求されるものと思われる。
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