1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06557087
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大島 博幸 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (60013934)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下村 忠生 株)日本触媒, 姫路研究所・高分子第一研究室, 室長
秋葉 隆 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (70184108)
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Keywords | 高分子吸水剤 / 慢性腎不全 / 水制限 / 糞便 |
Research Abstract |
慢性腎不全に罹患し、血液透析や腹膜透析を受けている患者は、厳しい水分制限を強いられている。この制限を幾分でも緩和するため、経口投与により、下痢を起こすことなく、糞便への水分排泄を増加する高分子吸水剤の開発を行った。 平成6年度は最初に慢性血液透析患者・腹膜透析患者にアンケート調査、及び透析記録の調査を行った。これにより、経口水分吸着薬として、成人(体重50kg)で最低200ml、最高800mlの除水性能が求められていることが明らかとなった。 次にin vitro試験により、胃酸存在下での吸水特性を各種の市販高分子吸収剤において検討し、比較的強酸下でも、吸水特性の傷害されにくい吸収剤を選び出した。 これらの吸収剤をラット・家兎に胃管を用いて経口投与してその効果を検討した。正常腎機能動物では、吸水材投与により糞重量の増加と、尿量の増加、尿比重の増加を認めた。その作用は0.5g/kg-5g/kgまで用量依存的に認められた。投与後の血液生化学的検査では、電解質・腎機能・肝機能検査とも異常を認めず、屠殺時の臓器所見にも異常を認めなかった。 しかし、長期的に糞量が増加した場合、消化吸収機能に障害がおこる可能性が考えられる。そこで、栄養状態に変化がおこりうるか検討するため、3ヶ月を目標に亜急性試験を開始した。現時点では明らかな障害は見られていない。 以上、1年間の研究により、経口水分吸収剤は臨床的に求められており、動物の短期投与試験の成績からは、臨床的に有用な薬物である可能性が示唆された。今後、臨床試験入る為には、長期試験の成績、慢性毒性の成績、さらには腎不全における薬物代謝試験などが必要である。
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