1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06557087
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大島 博幸 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (60013934)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋葉 隆 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (70184108)
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Keywords | 高分子吸水剤 / 慢性腎不全 / 水制限 / 糞便 |
Research Abstract |
慢性透析患者の年間粗死亡率は8%前後と予後不良である。その死因は心不全、心筋梗塞、脳血管障害が約50%をしめ、溢水とそれに伴う高血圧、心血管障害が透析患者死亡の最大の原因である。我々の調査では、透析患者は極度の水分制限に関わらず、透析間平均体重増加は体重の5.8±2.2%と、循環血漿量にも相当する水分過剰が生じていた。 そこで水分を間歇的な透析以外に、持続的に除去する治療法として、我々は、オムツ等に使われている高分子水吸収剤を経口投与して、排便中の水排泄を増加させる可能性に着目した。初年度本法に適当な水吸収剤を決定し、2年度、単回投与時の消化管内で吸水能を評価した。3年度その慢性投与の効果と副作用の有無の検討し、臨床的に有用な治療方法であるか検討中である。 すなわち、初年度、日本触媒製の高分子水吸収剤6種類(H2、H-3、CS-7M、CSN-50、K4、K-25)の経口投与される条件、水分吸収部位の環境を考慮し、人口胃酸処理の吸水能に与える影響を検討した。これらの水吸収剤は蒸留水と比較して人口胃液中では23-48%の吸水能の低下がみられた。2年度、ポリエチレングリコールに懸濁してラットに胃管投与した成績では、体重、摂食量、行動には異常を認めず、一過性の尿量減少、尿浸透圧上昇、排便量の増加をみた。投与24時間後の血液生化学所見は対照群(ポリエチレングリコール単独投与)と差がなく、剖検所見でも各臓器に変化をみなかった。今年度は1日1回連続投与試験を施行中である。軽度の体重減少と便量の増加以外には上記の観察項目について対照群と大きな差は観察されていない。なお血清リン濃度の変化も観察されていない。 今後本剤が透析患者の水分制限を緩和し、QOLを改善する治療薬となりうる可能性が期待されるものの、今後の課題としては、緩下剤を用いた下痢誘発時に認められた、腸液の喪失による酸血症の増強などの副作用の有無が懸念される。
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