1994 Fiscal Year Annual Research Report
高浸潤・転移型癌細胞の産生するAMF及びそのレセプターの機能解析と診断への応用
Project/Area Number |
06557108
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
天笠 光雄 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (00014332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 亨 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (20124696)
大井田 新一郎 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (10114745)
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Keywords | ボイデン・チェンバー / 自己分泌型遊走因子 / 癌浸潤・転移 / 分子生物学 / クローニング / レセプター / 扁平上皮癌 / 細胞工学 |
Research Abstract |
自己分泌型遊走因子AMFは、悪性黒色腫をはじめ、線維肉腫な膀胱癌などの浸潤・転移能の高い癌細胞で産生されていることが報告されている。我々は、高浸潤・転移型扁平上皮癌細胞の培養上清を100倍まで濃縮し、各濃度における同癌細胞の遊走能をボイデンチェンバーを用いて検索したところ、10倍濃縮までド-ズディペンデントに遊走能は上昇し、10倍濃縮でピークに達したのち、遊走能は順次低下した。この培養上清を、ゲル濾過カラム、DEAEカラムにて精製したところ、分子量55kD(還元時65kD)の扁平上皮癌細胞遊走活性を有する糖蛋白(SCC-AMF)が精製された。この分子量はすでに報告されているAMFの分子量に一致し、またSCC-AMFは悪性黒色腫細胞、線維肉腫細胞の遊走をも誘導したことから、SCC-AMFはこれらの細胞で産生されているAMFと同一のものであることが示唆された。 我々は、SCC-AMFのレセプターであるAMFRの発現は、高浸潤・転移型扁平上皮癌細胞で高く、低浸潤・転移型扁平上皮癌細胞で低いことを、ノーザンブロット分析で確認した。そこで高浸潤・転移型扁平上皮癌細胞のcDNAライブラリーをスクリーニングしたところ、90万クローンから8この陽性クローンを得、これをシーケンス分析したところ、いずれもAMFRをコードしていた。さらに最長2.5kbのインサートをもつクローンは、既に報告されているAMFRの上流1.2kbをコードしており、開始コドン(メチオニン)は、報告されている位置よりもさらに上流にあることが示唆された。AMFRを発現している扁平上皮癌細胞は、線維肉腫細胞由来のAMFによっても、遊走活性が誘導されることを確認した。 以上の結果から、口腔領域の扁平上皮癌細胞もAMFを産生し、そのレセプターであるAMFRを介して、遊走能を発揮することが示唆された。
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