1996 Fiscal Year Annual Research Report
血小板の接着分子を標的とした血管の炎症性疾患治療薬の開発
Project/Area Number |
06557134
|
Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
辻 勉 東京大学, 薬学部, 助教授 (00143503)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
益田 順一 島根医科大学, 医学部, 教授 (70173747)
山本 一夫 東京大学, 薬学部, 助手 (20174782)
今井 康之 東京大学, 薬学部, 助手 (80160034)
入村 達郎 東京大学, 薬学部, 教授 (80092146)
|
Keywords | 血小板 / 白血球 / 細胞接着 / セレクチン / サイトカイン / 炎症 / TNF |
Research Abstract |
活性化された血小板に発現するP-セレクチンは、好中球や単球などの白血球表面のシアリルルイスX構造を含む糖鎖と結合し、活性化血小板と白血球の接着反応を媒介することが知られている。本年度の研究においては、白血球の重要な機能であるサイトカインの産生および放出がP-セレクチンとの相互作用においてどのように影響を受けるか検討を加えた。ヒト末梢血より単離した単球を、P-セレクチンをコートした培養プレート上で培養することにより、炎症性サイトカインである腫瘍壊死因子(TNF-α)が放出されることが判明した。プレートにコートするP-セレクチンの濃度と、TNF-α誘導との間にどのような相関があるか調べるため、P-セレクチンの濃度依存性について検討した。0.04〜20μg/mlの濃度のP-セレクチンでコートしたプレート上で単球を培養したところ、0.3μg/mlの濃度を用いたときに最大のTNF-αが放出され、コートする濃度に最適値が存在することが明らかとなった。次に、TNF-αの放出の経時変化について検討した。その結果、2時間後以降からTNF-αの放出が確認され、4および6時間と時間が経過するのにつれ上清中のTNF-α量は増加した。細胞のmRNA量が増加していることがRT-PCR法により明らかになり、転写レベルの制御を受けていることが示唆された。これらの結果より、白血球膜の糖たんぱく質と内在性レクチンであるP-セレクチンの相互作用によって白血球機能を修飾するシグナルが伝えられることが示された。TNF-αは炎症アレルギー反応の発症および進行を促す重要なサイトカインであるので、これら血球細胞の相互作用は炎症性の病態に緊密に関与するものと思われる。
|
Research Products
(1 results)