1994 Fiscal Year Annual Research Report
Scidマウス移植ヒト皮膚片を用いた発ガン予防・阻止薬検定系の開発
Project/Area Number |
06557144
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research (B)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山本 サトシ 慶応義塾大学, 医学部, 助教授 (50138129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦野 浩司 (財)実験動物中央研究所, 研究員 (80213510)
上山 義人 東海大学, 医学部, 助教授 (30072408)
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Keywords | 移植ヒト皮膚 / 化学発がん / 発がんの予防・阻止 / scidマウス |
Research Abstract |
従来、発がんに関する研究は全て動物実験に基づくもので、ヒトにおける発がんの本態は全く明らかにされていないと言ってもよい。個体としてのヒトを実験に用いられない以上、上記の諸問題を解決するにはヒトの組織を用いての発がん実験系の樹立が必須と考えられる。本研究の目的はTcell/Bcell機能の欠損したscidマウスにヒトの皮膚を移植し、その移植皮膚片における発がん実験系を樹立し、更にそれを用いた発がん予防・阻止薬の検定系の開発を行う事にある。 本年度はまず正常ヒト皮膚をscidマウスに移植し、生着したヒト皮膚にがん原物質を直接塗布(一部紫外線照射も併用)することによる発がん実験を試みた。ヒト半層または全層皮膚をscidマウス背部に移植し、生着したヒト皮膚に7,12-dimethylbenz[a]anthracene(DMBA:200-300nmol),benzo[a]pyrene(200-300nmol),methylcholanthrene(1.5μmol),1-methyl-3-nitro-1-nitroso-guanidine(1.5-3μmol)のいずれかを週1回、マウスが衰弱あるいは死亡するまで塗布した。がん原物質を塗布し始めてから最長23週目までに全てのヒト皮膚移植scidマウスが衰弱あるいは死亡したが、上記のいずれかの処置によってもヒト皮膚での腫瘍形成は認められなかった。またDMBA(100nmol)を週1回塗布すると同時に紫外線(UV-B)を週5回(約12,500J/m^2/day)照射した群においても(塗布開始より27週目においても)ヒト皮膚での腫瘍形成は認められなかった。一方scidマウスの背部皮膚では試みたいずれの処置によっても腫瘍の形成が認められた。またscidマウスに移植したCD-1マウス皮膚においても腫瘍の形成は認められた。これらの結果よりマウス皮膚では顕著に認められる各種がん原物質による発がんがヒトの皮膚ではきわめておこりにくい事が示された。次年度以降は、観察期間をより長期にしての実験、皮膚角質バリアーを取り除いての実験、2段階発がん実験等を行う予定である。
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