1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06558004
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Research Institution | Heian Jogakuin (St. Agnes') College |
Principal Investigator |
伊藤 啓 平安女学院短期大学, 生活学科, 助教授 (20213077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅原 亮 国際羊毛事務局, 技術センター, 開発部長
村岡 雍一郎 平安女学院短期大学, 生活学科, 教授 (10074147)
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Keywords | 羊毛繊維 / 表面損傷 / 表面特性 / 水分輸送特性 / 静電容量法 / ウイルヘルミ-法 / 吸水速度 |
Research Abstract |
本研究では羊毛繊維の表面状態、特に表面損傷度を総合的かつ迅速に評価する方法を、静電容量(EC)法を用いて開発することを目的とし、その特色は、ケラチン繊維の構造特性をよく認識したうえで、「少繊維束の吸水速度」という総合的かつ迅速な評価法に着目したことにある。 平成6年度には、羊毛繊維の表面を正しく評価するためには、従来どのような点が不足していたか、どのようなアプローチを行うべきかについて論理的検討を行い、さらに、表面特性の諸物性への影響についても考察し、本研究で行うべき評価方法(EC法)の意義について検討した上で、装置の開発(試作)について検討を行った。以下に具体的に述べる。繊維直径が小さくかつ捲縮度の高い羊毛繊維ではEC法による評価法が困難であるので、まず、繊維直径が大きい毛髪試料で予備的に検討を行った。未処理毛髪では表面が高撥水性であり10本以上の繊維束であっても毛管現象に基づく水分移動は認められなかった。一方、DCCAによる塩素化試料及び紙やするによる機械的損傷試料では、明確な水分移動が数本の繊維束でも観察された。しかも、移動速度は表面の損傷度に基づく親水化度(Wilhelmy法による接触角)に依存することが分かった(J.Soc.Cosmet.Chemist,45,183(1994)。 羊毛繊維では繊維直径が小さく高捲縮性のため、測定値の再現性の点では苦労を強いられている。現在、EC法の測定セルの改良(試料取り付け部の溝切りなど)、コンデンサー極板材料の選定、試料セット方法の工夫などを続けている。また、接触角を求めるためのWilhelmy法でも試料のセッティングや測定液体の選定、糸ないし布形態試料での測定化などの試行錯誤的努力を行っている。本研究の着想の正しさは前述の研究経過(毛髪での結果)により明らかであるので、平成7年度の努力で初期の目標は達成されると考えている。
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[Publications] Ito,Muraoka,Hocker: "Damage of hair fibers as evaluated by an electrical capacitance technique." J.Society of Cosmetic Chemist. 45. 183-192 (1994)
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[Publications] Muraoka,Ito,Umehara: "Physical properties of wool treated with multifunctional epoxides." Textile Research Journal. 64. 514-518 (1994)