1996 Fiscal Year Annual Research Report
大強度電子ビーム集束用スーパートロン(バルク高温超伝導体レンズ)の基礎的開発
Project/Area Number |
06558063
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Research Institution | Yamanashi University |
Principal Investigator |
松沢 秀典 山梨大学, 工学部, 教授 (40006234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 聡彦 日本原子力研究所, 核融合工学部, 研究員
志甫 諒 日本原子力研究所, 核融合工学部, 主任研究員
秋津 哲也 山梨大学, 工学部, 助教授 (70159333)
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Keywords | スーパートロン / バルク高温超伝導体 / 大強度電子ビーム / 空間電荷中和 / 電子軌道シミュレーション |
Research Abstract |
本研究は二つの研究から成る。第一に、日本原子力研究所(以下原研)の大強度電子ビーム源(1Mev、3KA、100ns)をビスマス系スーパートロン(内径20mm、長さ50mm、臨界温度103K)へ入射して、電子ビームの集束状況を実験的に調べたこと、第二に、山梨大学に設置してある電子ビーム源(340keV、1kA、10ns)によってスーパートロンの動作機構を明らかにすると共に、スーパートロンの最適設計の基準を示したこと、さらに、これらの結果より原研における実験結果を説明できたことである。 原研の実験では、誘導加速器型電子ビーム源の下流に、カプトン箔によって真空分離した後にスーパートロンを設置した。スーパートロンはネオンガス(0.1Torrの桁)中に設置して電子ビームの空間電荷の中和を図り、スーパートロンによるレンズ効果を発現し易くした。スーパートロンの下流において電子流を検出したところ、明白な集束効果が認められなかった。 山梨大学の電子ビーム源による実験では、電子ビームの自己磁場がスーパートロン壁中へ低拡散速度(10^4m/s)で侵入し、その反作用力によって磁場がスーパートロン内に閉じ込められることが明らかに成った。そして、電子ビームがスーパートロンへ入射する角度が大きくなると集束されないことも軌道シミュレーションより分かった。このことから、原研における実験では電子ビームが分離用箔によって散乱され、入射軌道がスーパートロン軸からそれたために、集束効果が明白に認められなかったと思われる。今後は、電子ビーム源とスーパートロンの分離を箔によってではなく差動排気によって実現し、電子ビームの軌道を乱さない実験が必要である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H.Matsuzawa,et al.: "Diffusion velocity of magnetic fields through high-Tc sintered superconducting rings" Journal of Applied Physics. 68. 2150-2152 (1996)
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[Publications] H.Matsuzawa,et al.: "Self-magnetic fields of electron beams confined to bores of high-Tc sintered superconducting pipes" Japanese Journal of Applied Physics. 35. 5315-5319 (1996)
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[Publications] H.Matsuzawa,et al.: "Focal lengths of high-Tc sintered superconducting lenses (Supertrons) for intense electron beams" Japanese Journal of Applied Physics. 36. 98-104 (1997)