1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06558080
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
迫田 章義 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (30170658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮部 寛志 栗田工業(株), 総合研究所, 主任研究員
酒井 康行 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (00235128)
鈴木 基之 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (10011040)
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Keywords | 農薬 / 水環境 / 動物細胞 / 毒性評価 / バイオアッセイ / 肝細胞 / 機能変化 |
Research Abstract |
我々の飲料水原水となりうる河川水中には、農業活動等に由来する種々の農薬が微量であるものの含有されており、安全性の確認・毒性の評価が必要となっている。しかしながら、河川水中では原使用時とは異なる様々の代謝産物として存在していることも多い。このため、被検水中に含有されている物質の同定や追跡は非常な困難を伴う。同時に、それらの物質間相互作用が明らかになっていないことなど、評価には様々の障害があると考えられる。生物体および由来物(臓器、細胞、バクテリア等)を用いる評価方法は、必ずしも個々の物質が明らかでなくとも生物応答を指標とする評価のため実用性が高いと考えられる。 本研究は、上記のような状況を踏まえて、機能阻害に着目したバイオアッセイ法の特性の解明と適用性の評価を目的とした。具体的には、監視項目指定農薬から選定した数種の農薬の、初代培養ラット肝細胞の蛋白合成能の一つに及ぼす機能阻害性を指標として評価した。初代培養細胞はin vivoの臓器機能の多くを維持しているものと考えられており、また哺乳動物由来初代培養細胞の環境水評価への適用例は、我々の知る限り皆無である。したがって、ヒトへの影響評価への類似性の高い評価が本評価手法の確立によって実現される可能性がある。現時点で得ている成果は、供試農薬の毒性発現様式が、発現濃度領域の違いはあるものの、ほぼ同様であることを示しており、初代培養細胞の機能変化を指標とした毒性評価が実際に可能であることが示された。また、この手法により評価された毒性は、各農薬原体の水/オクタノール分配係数により序列化できることが示された。これは水系における毒性に関する既往の知見と一致している。現段階では、単一物質種の毒性評価を既往の知見と比較しながら試行する段階であるが、これまでの成果は本手法が毒性評価法として用いられ得ることを示唆している。
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