1996 Fiscal Year Annual Research Report
排水の生物学的窒素除去実規模施設からの亜酸化窒素の発生の抑制に関する研究
Project/Area Number |
06558083
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
花木 啓祐 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (00134015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青井 透 群馬高等工業専門学校, 教授 (90270222)
角野 立夫 日立プラント建設(株), 技術開発本部, 主任研究員
岡庭 良安 住友重機械工業(株), 環境技術研究センター, 主任研究員
田中 和博 日本大学, 理工学部, 教授 (50246815)
松尾 友矩 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (80010784)
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Keywords | 亜酸化窒素 / 排水処理 / 窒素除去 / 地球温暖化 / 温室効果ガス / 硝化 / 脱窒 |
Research Abstract |
本年度は、現地視察を兼ねた班会議を開いたほか、各分担課題の研究の進捗状況は次の通りである。 花木は岡庭と共同で行ったし尿処理施設の調査から、硝化が良好に進行している場合には脱窒過程で、脱窒が良好に進行している場合には硝化過程で、それぞれ亜酸化窒素が発生しやすいとの知見を得たが、実際にはその両者の差異は明確でなく、硝化と脱窒反応と亜酸化窒素の発生の関係が明確でない場合があることを見出した。そこで、室内実験を行い、原子量15の窒素の安定同位体を用いてトレーサー実験を行った。同位体窒素を含むアンモニアを流入水に含め、発生する亜酸化窒素、硝酸、亜硝酸の中の同位体窒素の比率を求め、亜酸化窒素の発生過程を調べた。ある条件下の実験では脱窒によって生成する亜酸化窒素が圧倒的に多いことが示された。この研究から安定同位体を用いた実験が実用的に可能であることが示されたので、今後この手法を駆使して硝化あるいは脱窒のいずれが亜酸化窒素発生源になっているかを明らかにし、その抑制を試みることが必要である。青井は、別のタイプの窒素除去方式のし尿処理場の調査を行った。また、生活排水が流入する池における亜酸化窒素の発生を調査した。田中は角野と共同で下水処理における亜酸化窒素生成を下水処理場の調査を通じて検討した。担体を用いない従来型の活性汚泥法、包括固定型の硝化・脱窒を行っている施設で調査を行っている。亜酸化窒素の発生量はし尿処理場に比較して低いものの、排水濃度に大きな差があるため、窒素転換量あたりの発生量は必ずしも無視できない。松尾は、一旦発生した亜酸化窒素を脱窒プロセスで還元・分解するプロセスを室内実験によって検討している。亜酸化窒素の分解を促進するためには、十分な量の有機成分を同時に与える必要があることが示唆された。
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[Publications] 堀 芳彦: "亜酸化窒素の分解を目的とした脱窒プロセス" 土木学会第33回環境工学研究フォーラム講演集. 69-71 (1996)
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[Publications] 林倶子,戸井啓夫: "生活雑排水で汚濁した都市内ため池底泥からの発生ガス組成" 第31回日本水環境学会年会講演集. (1997)
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[Publications] 大島秀則,青井透: "上向流微生物固定化担体法による硝化脱窒素処理" 第33回土木学会環境工学研究フォーラム「新技術セッション」. 42-44 (1996)
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[Publications] H.Itokawa: "Nitrous oxide emission during nitrification and denitrification in a full-scale night soil treatment plant" Water Science and Technology. Vol34 NO5-6. 277-284 (1996)